税関から貨物をとめられた!(通関トラブルあれこれ)~輸出編「他法令」~

マルハナジャーナル!

税関から貨物をとめられた!
(通関トラブルあれこれ)
~輸出編「他法令」~

こんにちは!

輸出入通関トラブルについて、数回にわたってご紹介しています。

これまで5回にわたって輸入通関でのトラブルをご紹介しましたが、トラブルは輸出通関でも発生することがあります。

今回は、輸出通関でのトラブルについてご紹介したいと思います。


過去の関連記事はこちら
税関から貨物をとめられた!(通関トラブルあれこれ)~輸入編①「申告外物品、知的財産権」~
税関から貨物をとめられた!(通関トラブルあれこれ)~輸入編②「他法令、原産地虚偽・誤認」~
税関から貨物をとめられた!(通関トラブルあれこれ)~輸入編③「違約品」(関税払い戻し制度)~
税関から貨物をとめられた!(通関トラブルあれこれ)~輸入編④「関税分類・関税率」(事前教示制度の説明)~
税関から貨物をとめられた!(通関トラブルあれこれ)~輸入編⑤「経済連携協定(EPA)」~

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輸出通関:輸出貿易管理令、バーゼル条約でのトラブル

輸出通関で一番多いトラブルは、外国為替及び外国貿易法(外為法)、輸出貿易管理令(輸出令)の関係でしょう。

つまり、輸出貨物が、“武器・化学兵器、麻薬、ワシントン条約該当物品、特定有害廃棄物、制裁(輸出禁止措置)”の対象貨物ではないか?と税関から疑念をいだかれた場合です。

リスト規制

経済産業省HPより

輸出令別表第1の1~15の項に該当する貨物をリスト規制貨物といいます。

※ 貨物のほかに“技術”も含まれますが、以下、貨物についてご説明いたします。

リスト規制は、貨物の機能や性能(スペック)に着目した規制で、具体的なスペックや機能は、輸出令別表第1の1の項を除き、経済産業省令である「輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令」で規定されています。

スペックを満たすリスト規制該当貨物を外国に輸出する場合は、原則、経済産業大臣の許可が必要です。

詳しくはこちらをご覧ください。
安全保障貿易管理[リスト規制](meti.go.jp)
※ ご参考までに、キャッチオール規制も。
安全保障貿易管理 キャッチオール規制 (meti.go.jp)

近年、ロシアや中国を巡る国際情勢の影響等で、輸出管理が厳しくなってきているように感じます。

以前であれば、輸出申告の際に、
「輸出令の別表1にある第1項から第15項(リスト規制)には該当しません。」
という“非該当証明書”を提出して通関が認められていたのに、
「なぜ“非該当”の判定に至ったのかの根拠・判定基準、貨物のスペックを明記したもの」
である“該非判定書”の提出を税関から求められるケースが増えているようです。

この“該非判定書”は、メーカーに依頼して入手する必要があり、入手するまでに時間を要します。

これまでOKだったのに!!と言っても、輸出の許可を得るためには税関に提出しなければなりません・・・

税関が該非判定書を確認し、問題がなければ輸出許可となります。

過去に外為法違反を犯した企業は、ニュースで大きく報道されています。輸出に際しては、外為法・輸出令について特に注意が必要です(該非判定はとても難しいですが・・・)。
輸出管理についてもっと詳しくお知りになりたい方は、経済産業省HPのほかに、こちらも参照されてください。
⇒ 安全保障貿易情報センター(CISTEC)   

バーゼル条約

スクラップや再生資源等の輸出の際に、貨物がバーゼル法に規定する「特定有害廃棄物等」や廃棄物処理法に規定する「廃棄物」に該当する貨物かどうか確認するため、税関の検査を受けることがあります。

まあ、税関検査だけですむのであれば、トラブルとは言えませんが・・・

※ バーゼル条約先進国からの廃棄物が途上国に放置されて環境汚染が生じるという問題がしばしば発生したことを受け、こうした課題に対処するために1980年代に採択された条約で、該当する場合には、外為法に基づく経済産業大臣の承認、環境大臣による確認等を受ける必要があります。

(参考)バーゼル条約・バーゼル法(METI/経済産業省)

そのほかの他法令

外為法・輸出令やバーゼル条約も“他法令”の一つですが、輸出に当たって許可・承認等が必要となる他法令は、このほかに10もあります。

※ 他法令にはどのようなものがあるかは、こちらでご確認ください。 ⇒ 輸出関係他法令

なお、関税法で規定する“輸出してはならないもの”に該当する貨物は、当然ながら輸出できません!念のために。

(参考)2501 輸出してはならない貨物(カスタムスアンサー) : 税関 Japan Customs

他法令に該当すると、許可・承認を取得するのに相当な時間を要することがありますし、貨物によっては許可・承認が取得できないこともありますので、輸出を計画されるさいには、取引開始前に十分ご確認してください。
輸出先と契約した後で“輸出できない”となると、大変なことになってしまいます!   

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました。

日新運輸工業・国際部には、輸出入申告のプロである通関士がたくさん在籍しております。

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