税関から貨物をとめられた!(通関トラブルあれこれ)~輸入編②「他法令、原産地虚偽・誤認」~

マルハナジャーナル!

税関から貨物をとめられた!
(通関トラブルあれこれ)
~輸入編②「他法令、原産地虚偽・誤認」~

みなさんこんにちは!

みなさんは、輸出入通関でのトラブルに遭ったことはありますでしょうか?

海外の取引先との交渉も順調に進み、貨物が日本に到着。

税関に輸入申告を行って、貨物の運送手配も済ませていたのに・・・通関業者から、「税関から通関(貨物)をとめられました!」との連絡が・・・どうして???

通関をとめられるのには、どのようなケースがあるのでしょうか?

輸出入通関でのトラブルとその対処方法について、数回に分けてご紹介しています。

今回は2回目です。
輸入通関で多く発生する他法令関係、商品への原産地表示に関するトラブルについてご紹介いたします。

1回目の記事はこちら
税関から貨物をとめられた!(通関トラブルあれこれ)~輸入編①「申告外物品、知的財産権」~

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申告がい物品、知的財産権関係でのトラブル

他法令

輸出入通関では、関税法・関税に関する法律のほかに、様々な法律による規制を受けます。
輸出の際に確認を受ける他法令は11ですが、輸入では30もあります。

輸入する貨物のなかに、我が国の経済、保健衛生又は公安風俗等に悪影響を及ぼす貨物が含まれていないか、税関によって確認が行われます。

他法令に該当する貨物である場合には、当該他法令の許可・承認等を取得しなければ、“輸入の許可”は得られません。

他法令の許可・承認等が得られない場合には、残念ながら、輸出国に積み戻すか貨物の廃棄等をすることになりますので、十分お気を付けください。

※ 他法令にはどのようなものがあるかは、こちらでご確認ください。 ⇒ 輸入関係他法令

では、輸入しようとした貨物が“予期せず他法令に該当(又は違反)してしまった”というようなケースについてご紹介しましょう。
※ 一般的な事例です。弊社での事例ではありませんので、念のため。

ケース① <IQ品目>

調味したアジの冷凍すり身を、関税率表第 1604項の“魚調整品”で輸入申告したところ、税関検査の結果、調理方法が関税率表第 03類に規定する方法であるため、第0304項(IQ品目)に該当すると言われた。
※ IQ品目(Import Quota:通称「IQ」)とは輸入割当て品目のことです。詳しくはこちらでご確認ください。
⇒ 水産物の輸入割当制度(METI/経済産業省)

IQ品目については、事前に経済産業省から割当て、輸入承認を受けなければなりません。輸入割当てを事前に受けていない方は、輸入することができません・・・残念ながら、輸出国への積戻しとなりました。

ケース② <ワシントン条約該当品> 

漢方薬の原料を輸入申告したところ、ワシントン条約に該当する“ジャコウ”の成分が含まれていることが判明した。 

⇒ 輸出国が発行する「CITES輸出許可書等」、経済産業大臣の輸入承認又は事前確認が必要です。

貨物が日本に到着したあとではこれらは取得が困難であり、輸出国への積戻し(返送)又は貨物の所有権放棄(任意放棄)の処分となりました。

ワシントン条約の対象物は、生きている動植物だけでなく、加工品等も含まれます。

(参考)ワシントン条約規制対象貨物の輸入承認手続き (METI/経済産業省)

ケース③ <食品> 

バターを輸入しようとしたところ、食品衛生のモニタリング検査で“成分規格不適合(大腸菌群陽性)”となった。

⇒ 食品衛生法に基づく全量積戻し又は廃棄の命令を受けました。

食品衛生法については、特に食品について多くの違反事例が発生しているようです。

(参考)輸入届出における代表的な食品衛生法違反事例

食品衛生法では、食品だけでなく、「食品用器具」、「食品加工機械」、「乳幼児(6 歳未満の小児)向けのおもちゃ」等も対象物となります。輸入される前によくご確認ください。 

(参考)食品衛生法に基づく輸入手続(厚生労働省)

他法令については、貨物が日本に到着したあとでは許可・承認を取得するのに相当な時間を要するものや、実質的に取得が困難なものもあります。輸入貨物が他法令に該当するものではないか事前に(場合によってはサンプルを入手するなど)十分検討し、ご不明な場合には主管省庁や通関業者等にご相談ください!

原産地虚偽 又は 原産地誤認表示

これも時々あるケースです。

原産地について偽った表示又は誤認を生じさせる表示がされている外国貨物は、関税法第71条の規定により輸入が許可されません。商品自体への表示だけでなく、包装に表示されている場合もダメです。

<原産地を偽った表示> ※ 原産地虚偽表示といいます。

貨物に原産地以外の国又は地域において生産・製造されたことを示す表示をいいます。

例えば、「Made in ○○」、「Produced in ○○」、「Fabricated in ○○」のように、貨物の原産地でない国名等が貨物の原産地を表す文句とともに表示されている場合をいいます。

<誤認を生じさせる表示>※ 原産地誤認表示といいます。

虚偽の原産地が必ずしも明白に表示されているわけではありませんが、一般的、客観的に見て、原産地の誤認を生じさせるような表示をいいます。

例えば、原産地以外の国、地域及び都市名等の名称が表示されている場合や、原産地に所在しない会社名又は商標その他の図柄等が表示されている場合が原産地誤認表示に該当します。

ですから、A国から輸入する商品や包装に、日本にある「株式会社〇〇」と表示されていてはいけません。

  「販売元 株式会社〇〇」は原産地誤認表示となりますが、「輸入販売元 株式会社〇〇」であればOKです。

ただ、原産地誤認表示については、正当な原産国の表示(例えば 「原産地 A国」)を、誤認を生じさせないように適正な場所・大きさで表示していれば問題はありません。

また、例えば、輸入元である日本のホテルが宿泊客用に使用するタオルに、「〇〇ホテル」と表示させる場合や、輸入元の会社が“無償”で配付する紙袋等に「〇〇商店」と表示させる場合には、正当な原産地の表示がなくても大丈夫です。 

※ お店で無償で配付されるレジ袋に「〇〇商店」等の記載があっても大丈夫ですが、“有償(例えば袋代1円等)”のものはダメです。

タダで配られるものであれば、消費者も“日本製だと思ったのに騙された!”なんて思いませんよね。(原産地“虚偽”表示は無償で配付される袋等であっても認められませんよ、念のために。)

<原産地虚偽表示等への処置>

では、輸入する貨物に原産地虚偽表示や誤認表示があった場合、どうしたらよいのでしょう?

原産地虚偽表示については、「抹消若しくは訂正又は積戻し」のいずれかの処置をしなければなりません。

※ 貨物の輸入後、容易に再訂正されるなど、単に通関のためされた措置は認められません。

原産地誤認表示については、上記の処置をしなくても、前述のとおり、正当な原産国を表示すれば通関が認められます。

(参考)原産地を偽った表示等(税関HP) 

私は以前、税関検査で“原産地誤認表示”と指摘された商品について、原産国のシール貼りをしたことがあります。 

冬の寒い倉庫の中で、パレットに積まれたカートンボックスを作業台に移して一つ一つ開け、中商品を取り出して1点ずつ“Made in 〇〇”と書かれたシールを貼る、そしてまたカートンボックスに戻してパレットに積み戻す作業を経験しました。

商品は1万点以上あり、とても辛い作業でした・・・

輸入しようとする貨物に原産地虚偽表示や原産地誤認表示があった場合、表示を抹消したり、正しい原産地表示を貼るなどしなければ輸入することはできません!
十分ご注意ください。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました。

日新運輸工業・国際部には、輸出入申告のプロである通関士がたくさん在籍しております。

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