食品輸出の流れとは?事前に確認が必要な規制や具体的な手続きを解説

国際物流・通関

近年は、日本食が海外で注目を集めており、日本産の食品も海外で需要が高まりつつあります。輸出に興味はあるものの、何から手をつければいいのかわからなくて、困っている人もいるのではないでしょうか。

この記事では、食品輸出の流れと必要な手続き、輸出に関わる規制、輸出を成功させるためのポイントについて紹介します。食品の輸出に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。

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食品輸出の大まかな流れ

食品輸出の流れは、まず港や空港への搬入に始まり、船便もしくは航空便による輸送、そして輸出する国での荷受けとなります。

また、国家間をまたぐ輸送は、出国側と入国側の税関の両方で、手続きを行う必要があるため、注意が必要です。

食品輸出の大まかな流れを解説していきます。

出荷と搬入

まずは、輸出する食品が保管されている場所から、港や空港へ送ります。船便の場合、食品を輸送するにはコンテナに詰めるのが一般的です。

コンテナ詰めは、自社で行うか、業者に委託するかを選択できます。

自社で行う場合は、空のコンテナを取り寄せ貨物を積み込み、港や空港へ送りましょう。業者に委託する場合は、まずは業者が保有する倉庫へ商品を送り、その倉庫でコンテナ詰めが行われます。

輸出通関

コンテナ詰めが完了したら、船や飛行機に食品を詰め込む前に、通関手続きを完了させましょう。事前に下記の書類を作成しておく必要があります。

  • インボイス
  • パッキングリスト
  • 食品の原産地を証明する書類
  • 保険証券

事前に作成した書類をもとに、税関にて輸出申告を行います。ここで理解しておきたいポイントは、輸出申告を行うタイミングです。

輸出申告は以前、保税地域へ貨物を搬入したあとに行う必要がありました。しかし、2011年10月の法令改正で保税地域へ搬入する前に輸出申告をすることも認められるようになっています。

事前に輸出申告をしていくと、万一のトラブルに備えられることもあるため、保税地域への搬入前に輸出手続きを完了させることも検討しましょう。

税関および検疫の検査が完了し、輸出許可が得られたら、次は貨物の積み込みです。

輸送

商品を梱包したコンテナが船舶や航空会社に引き渡され、搬入前検査が問題なく完了して積み込みが終わると、貨物の預かり証書が発行されます。船便なら船荷証券、航空便なら航空貨物運送状です。

輸送を経て、輸出先の国に貨物が到着したら積卸しが行われます。

輸出先の国の通関と荷受け

輸出先の国の税関においても、許可を得る手続きが必要となります。

輸出先の国の通関では、関税の支払いにくわえ、国によっては付加価値税や消費税の支払いが必要です。輸出する国の最新情報を集めておきましょう。

輸入許可が得られたら、貨物を預かり証書と引き換えに受け取ります。

食品輸出は手続きが複雑で手間もコストもかかります。

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食品を輸出する際の規制

食品を輸出するにあたっては、さまざまな規制を知り遵守する必要があります。

たとえば、品評会で評価された野菜でも、日本産の青果物の輸入を停止している国へは、輸出できません。一例を挙げると、台湾へのトマト輸出は、日本国内で発生したじゃがいも疫病菌が原因で、制限されています。

昨今の食品は品質だけでなく、安全性や安心性も求められます。したがって、世界各国で国際的な規格を導入する流れがあるのです。

代表的な制限や規格をピックアップしながら、輸出の規制について解説します。

輸出制限

食品の輸出をする際には、輸出国の規制を把握する必要があります。食品の品目や原産地によっては、輸出できない国があったり、条件付きで認められていたりするからです。

アメリカを例に挙げると、豚肉の輸出は停止中ですが、日本で生まれて飼育された牛肉は輸出可能です。ただし、牛肉を輸出するためには条件があり、厚生労働省が認定した施設で処理がされていることにくわえ、食肉衛生証明書の発行を受ける必要があります。

また、中国では、日本の10都道府県で生産された食品に対して、輸入停止措置を取っています。新潟県も禁止区域に含まれていますが、精米のみ産地証明を添付することを条件に輸出可能です。

上記は2023年5月末時点での情報で、規制の撤廃や緩和によって、輸出できる品目が増える可能性はあります。輸出制限に関する情報は、国ごとに常に最新情報を入手するようにしてください。

国際的な規格

食品輸出の規制は、輸出先や品目によって異なりますが、世界各国で導入されている規格も存在します。

現場の税関担当者によって解釈に差があるため、規格に従っていなくても輸入が許可されたケースはあるようです。ただし、通関で輸入を止められるリスクがあることも、知っておいてください。

具体的な世界的な食品規格や、欧米諸国に導入されている規制について、概要をお伝えします。

CODEX

CODEXは世界的に通用する唯一の食品規格です。この規格を算定する委員会は、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)によって設立されました。

CODEX規格においては、食品の標準規格やガイドライン、衛生の規範、農薬の最大残留値などが定められています。

CODEX発足当時から日本も加盟しており、厚生労働省による文書の日本語訳があります。詳細は、下記のサイトをご参照ください。

主な文書の日本語訳|厚生労働省

HACCAP

HACCPによる衛生管理は、欧米諸国を筆頭に、世界各国で導入されつつある規格です。世界的な食品規格を算定するCODEX委員会は、HACCPを食品衛生の原則の一部としています。

HACCPは、食中毒のように健康被害を引き起こす要因を、低減させたり除去することが目的です。原料それぞれの受入段階から、製造、出荷の工程において、管理方法が定められています。

日本でも、食品を扱うすべての事業者が、HACCPに沿った衛生管理に取り組むことが原則になりました。HACCPのガイドラインについては、以下のサイトをご覧ください。

HACCP(ハサップ)|厚生労働省

FDA

アメリカに食品を輸出する際は、FDAに登録をすることが義務付けられています。FDAはバイオテロ法に基づいており、公衆の健康安全の保障と、バイオテロへの準備と対策が趣旨です。

具体的には、アメリカに輸出する食品の製造や加工、梱包、保管をする施設が対象となります。施設の責任者や、取り扱う商品の情報などをFDAに登録しなくてはなりません。

なお、FDA登録せずにアメリカへ食品を持ち込むと、通関で止められる可能性があるため、漏れなく手続きを行いましょう。

EU加盟国の共通規制

原則的に、EU域内は食品の流通に関する規制が統一されています。ただし、それぞれの国の国内法による規制もある場合は、両方の規制に合致しなくてはなりません。

EUの輸入規制は厳しいことで知られています。畜産物には動物福祉に関する規制があったり、日本よりも厳しい残留農薬の基準があったりするのです。

さらに、EUの規制は更新や追加が頻繁に行われており、解釈が変わることもあります。事前情報を鵜呑みにせず、最新のEU規則の原典と、輸出する国の政府の動向を調べてください。

食品輸出は手続きが複雑で手間もコストもかかります。

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食品輸出をする際に理解しておくべきポイント

食品輸出は物資の移動だけでなく、それに伴う書類を作成し、代金の決済についても考えなければなりません

また、長期間の販売を実現するには、販売戦略やリスク管理も重要となります。自社のみで貿易取引に対応するか、貿易会社や商社に依頼するかも、選択することになるでしょう。

食品の輸出をする際に知っておくべきことや、計画を立てるべきことについてお伝えします。

直接貿易と間接貿易のどちらにするか考える

まずは、直接貿易と間接貿易の違いから把握していきましょう。それぞれの特徴については、下記の表を参照してください。

直接
貿易
・海外と輸出入の取り引きをする際に、貿易会社や商社に依頼せず、企業自らが行う
・企業自らが貿易手続きをして、貿易のリスクも負う
・貿易会社や商社への手数料は発生しない
間接
貿易
・海外と輸出入の取り引きをする際に、貿易会社や商社が貿易を代行する
・貿易の手続きやリスクの負担は、代行した会社や商社が果たす
・代行した会社や商社に手数料を支払う
直接貿易と間接貿易の違い

間接貿易は、貿易会社や商社が貿易の代行をすることで、貿易の実務が皆無の企業でも輸出が実現します。煩雑な手続きから解放される分、商品開発や商材の調達に専念できるはずです。輸出する商材の顧客を抱えている商社なら、販路を開発することも可能です。

一方で、直接貿易では、企業自らが海外市場と関わることで、トレンドを体感できるメリットがあります。間接貿易では、顧客との間に商社が入ることで、顧客が抱える真のニーズが見えにくくなるかもしれません。

直接貿易と間接貿易のどちらが合うかは、置かれている状況によって異なります。間接貿易を選ぶなら、信頼できる代行業者を選ぶことが重要です。

綿密に輸出プランを立てる

輸出においては、書類の流れや、お金の流れについても計画を立てておきましょう。

まずは、税関をスムーズに通過するために、通関に関する知識を身に付けます。通関の書類に不備があると、税関で指摘され時間のロスが発生し、予約した貨物便を逃してしまう恐れがあるのです。膨大なボリュームの書類を正確に作成する知識を身につけ、滞りなく通関が進むように努めましょう。

また、輸出では、代金決済の方法も考えておく必要があります。代金決済の方法は、銀行からの送金(T/T送金)が一般的です。外国為替銀行間で取り引きが行われるため、事前に金融機関へ相談する必要があります。

取引金額が大きい場合は、信用状取引も視野に入れましょう。輸入する側の取引銀行が、輸出側へ支払い保証を発行します。輸出側は、信用状で指定された書類を取引銀行に提示すると、代金を受け取れます。輸入側は、代金決済と交換で船積み書類を受け取り、貨物と引き換えます。

実行にあたっては、事前に金融機関などに相談をしておくと安心です。

事前に海外での販売継続方法も考える

海外で食品を継続して販売するには、販売戦略とリスクマネージメントの両方が必要となります。

販売戦略としては、狙う市場の選別と、顧客へのアプローチ、自社の強みのアピールは欠かせません。​​できれば現地へ赴き、自ら調査を行い、潜在顧客や取引先を訪問したいところです。現地の中小企業支援機関によって、現地のビジネス情報を収集してもよいでしょう。

想定されるリスクは、まず為替が挙げられます。代金の入金までに日数がかかるほど、為替相場の予測は困難となり、為替による損失が発生するかもしれません。取引先の信用におけるリスクや、代金の回収、輸出入の規制についても、事前に対策方法を考えておきましょう。

食品輸出は手続きが複雑で手間もコストもかかります。

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食品輸出のサポートは日新運輸工業におまかせください

日新運輸工業では、顧客様ごとに専任の担当者をお付けしています。打ち合わせに始まり、法令に関わることや通関手続き、配送、それらをひとりの担当者が対応することで、一連の流れをスムーズに進めることが可能です。

検疫や税関などの貿易手続きは、経験豊富な通関士が実務を行いますので、ご安心ください。日本各地の港や空港から海外の輸出先まで、商品に合う輸送手段をご提案し、手配も行っております。

海外での販売サポートや、販売先もご紹介しているので、ぜひお気軽にご相談ください。

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まとめ

食品を輸出するには、コンテナの準備から輸送手段の選択と手配、出国側と入国側の税関手続きなどが必須です。それらに関連する法令の知識を得て、書類を作成しなくてはなりません。

貿易手続きを自社で行うか、もしくは専門業者に代行を依頼するか、それぞれにメリットと課題はあります。専門業者に依頼するなら、信頼できる業者を選択しなくてはなりません。現地にて販売の支援も行っている業者なら、より輸出事業を継続しやすくなるでしょう。

食品輸出でお困りのことがあれば、貿易の経験が豊富な業者のアドバイスを聞いてみてください。