税関から貨物をとめられた!(通関トラブルあれこれ)~輸入編④「関税分類・関税率」(事前教示制度の説明)~

マルハナジャーナル!

税関から貨物をとめられた!
(通関トラブルあれこれ)
~輸入編④「関税分類・関税率」(事前教示制度の説明)~

みなさんこんにちは!

輸出入通関トラブルについて、数回にわたってご紹介しています。

みなさんは、商品を輸入したときに“思っていたよりも税金が高かった!”という経験をしたことはありませんか?申告が間違っていて税金が安くなるのはうれしいですが、高くなるのは困りますよね。

今回のトラブルは、税金(関税)関係です。

輸入申告(納税申告)の誤りで貨物を止められてしまったときの対応や、トラブル回避のための便利な制度についてもご紹介していますので、ぜひご一読ください。


過去の関連記事はこちら
税関から貨物をとめられた!(通関トラブルあれこれ)~輸入編①「申告外物品、知的財産権」~
税関から貨物をとめられた!(通関トラブルあれこれ)~輸入編②「他法令、原産地虚偽・誤認」~
税関から貨物をとめられた!(通関トラブルあれこれ)~輸入編③「違約品」(関税払い戻し制度)~

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関税分類・関税率

輸入しようとする貨物は、約9,000もあるHSコード(正確には6桁のHSコードと3桁の税表細分の合計数で、“税番”とも呼ばれます。)のどれかに当てはめて輸入申告しなければなりません。

※ HSコードにいつては、弊社「マルハナジャーナル」の “HSコードってなに? ~ 関税分類、関税率の話 ~” をご覧ください。

通関業者は、輸入者からいただくインボイス(仕入書)等の通関書類や商品説明書等を確認し、貨物の形状、材質、成分、用途等を基に貨物の関税分類(税番決定)を行い、HSコードごとの関税率により納税額を計算の上、税関に輸入申告を行います。(適正申告に努めています!)

 ※ 書類だけではHSコードが判明しない場合には、実際に貨物を確認(「内容点検」といいます。)を行うこともあります。

でも、税関検査で実際に貨物の形状等の確認が行われた結果、「(輸入申告書の)HSコードが違うのではないか?」と指摘されることがあります・・・。

関税率表解説や関税分類の国際・国内例規、過去の分類事例等により分類の再検討を行って税関から認めてもらえば、税番を訂正して輸入許可、となることもありますが、申告した税関の通関官署だけでは分類の判断がつかないこともあります。

そのような場合には、通関官署と管轄する税関(本関)の関税鑑査官との協議が行われます。

そこでも分類の判断が難しいようであれば、東京の総括関税鑑査官に協議することとなりますので、更に時間がかかります・・・たとえ関税分類が変わっても税率が同じ(つまり納税額が同じ)という場合であっても、分類が決まらなければ通関は認めてもらえません・・・

納期が!倉庫の保管料が!とにかく早く引き取りたい!

税関は、税番が決まるまで通関を保留します。

輸入者にとっては、納税額よりも納期遅れによるペナルティーや倉庫保管料等の方が気になるかもしれません。なにか良い手はないのでしょうか?

次のような方法があります!

分割通関

貨物の種類が数品目あり、税関で問題となっているのがその中の1品目だけ、というケースでは、貨物を分割し、1品目だけを残して問題のない貨物だけ先に輸入通関することができます。

問題となっている貨物の通関は遅れてしまいますが、被害は最小限に・・・

事後審査扱い

「輸入通関事務処理体制について」という通達で規定されている取扱いで、税番・税率の決定を、輸入の許可後に行うものです。

税番・税率が変更となった場合には輸入者は修正申告に応じることを前提として通関が認められます(輸入が許可されます)。 

※ 修正に応じない場合には税関による更正が行われます。

輸入許可前引取り

関税法第73条の規定に基づき、税関の承認を得て輸入の許可前に貨物を引き取る制度で、通称B・P(Before Permit)と呼ばれています。

なお、この場合、税関に関税額に相当する担保(通常は銀行の保証書)を提供する必要があります。

※ 委託販売方式で輸入される魚介類や切り花等、輸入の段階では課税価格が決定していない場合にも、この制度が使えます。

(参考)1113 輸入許可前貨物の引取り制度(カスタムスアンサー) : 税関 Japan Customs

事前教示制度の活用

ここまでご紹介したように、関税分類・関税率適用上のトラブルや経済連携協定(EPA)適用でのトラブル(次回“マルハナジャーナル”にて掲載予定です。)については、税金が絡んできます。

また、通関の遅れに伴って、手配していた運送のキャンセル料や倉庫保管料の追加支払い等、想定していなかった経費がかかるだけでなく、国内販売先への納期の問題等、販売計画に影響が生じることもあります。 このようなトラブルを防ぐため、特に新規貨物等を輸入される際には、税関の「事前教示制度」をご利用されることをお勧めします。

事前教示制度とは

税関に対して、実際に貨物を輸入する前に、輸入予定貨物について照会する制度で、次にようなものがあります。

① 貨物の関税分類(税番)や関税率等についての照会

② 関税評価上の取扱い(法令の適用・解釈等)についての照会

③ 原産地認定の取り扱い(法令の適用・解釈等)についての照会

④ 減免税の適用の可否についての照会

これらの照会は、原則として文書により行い、文書により回答を受けることができる制度です。

税関から回答された文書(事前教示回答書)の回答内容については、当該回答書が発出されてから3年間、輸入申告の審査の際に尊重されます(法律改正等により取扱いが変わった場合を除きます。)ので、安定的な取り扱いが確保されます。

なお、口頭による事前教示の照会やEメールによる事前教示の照会(文書による事前教示の照会に準じた取扱いに切り替えた場合を除く。)も可能ですが、輸入申告の審査の際に尊重される取扱いは行われないのでご注意ください。

(参考)輸出入通関手続きの便利な制度 : 税関 Japan Customs

事前教示制度を活用すれば、事前に輸入予定貨物の関税分類等を知ることができ、原価計算をより確実に行うための一助となり、販売計画等が立てやすくなります
また、貨物の輸入通関においても適正かつ迅速な申告が可能となり、結果としてトラブルを回避し、早期に貨物を受け取ることができるようになります

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました。

日新運輸工業・国際部には、輸出入申告のプロである通関士がたくさん在籍しております。

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