中国へ食品輸出する際の手続きは?規制や輸出できないものも紹介

国際物流通関

中国へ向けた食品の輸出を検討中ながらも、具体的な手続きの方法を熟知している人は少ないのではないでしょうか。

近ごろは、食品の安全性や安心性が重視されるようになり、輸出入の手続きにおいても衛生に関わる対応が求められます。中国は日本食材の認知度は高いものの、輸入規制が厳しい国なため、正しい知識を把握することが重要です。

この記事では、中国へ食品を輸出する際に必須の手続きや、品目別の注意点、輸出できないものについて解説します。中国への食品輸出を目指している人は、ぜひ参考にしてください。

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日本から中国へ食品を輸出する際の手続き

食品を中国へ輸出するにあたって、あらゆる食品に共通する手続きがあります。

欠かせないのは、食品を製造した企業を中国政府に登録する手続きです。輸出する品目によって2種類の手順があり、日本政府もしくは企業自らが登録します。

詳細は以下で解説するので、内容を確認してみてください。

中国向け輸出食品の製造等企業登録

2023年5月の時点では、中国へ輸出される食品を製造する企業は、中国政府に対しての登録が必須となっています。中国政府が定めた「輸入食品海外製造企業登録管理規定」により、登録が求められるようになりました。

対象となる企業は、中国向けに輸出する食品の最終製造や加工、最終貯蔵、保管する施設です。登録方法は下記の2種類があり、品目によって区別されています。

  • 日本政府による中国政府への登録
  • 企業による中国政府への登録

なお、中国政府は、この品目を随時変更しています。したがって、中国向けに食品を輸出する際は、最新の情報を確認してください。

2種類の企業登録について、それぞれの概要を解説していきます。

日本政府による中国政府への登録

中国に向けて輸出する食品が、特定の品目に該当する場合、輸出する企業を日本政府が中国に登録します。この特定の品目は7条品目と呼ばれており、代表的な食品は下記のとおりです。

  • 肉と肉製品、卵と卵製品、乳製品
  • 水産物
  • 食用の穀類、穀類を製粉した工業製品、麦芽
  • 食用の油脂、搾油の原料となるもの
  • 乾燥野菜、乾燥豆類、ドライフルーツ 
  • 調味料

企業を登録する際は、中華人民共和国向け輸出農林水産物・食品の取扱要綱に基づく対応が求められます。日本側の窓口は農林水産省です。

まずは、農林水産省に関する手続きをオンラインで行えるeMAFFにアクセスしましょう。eMAFF上での手続きが済み、申請に必要な資料を揃えたら、要綱様式に収入印紙を貼り付けて郵送します。

農林水産省による審査があり、問題なければ認定番号を与えられます。次に、付与された認定番号をシングルウインドウというシステムに登録してください。

シングルウインドウについては次の見出しにてお伝えします。

企業による中国政府への登録

農林水産省を経由せずに、企業が直接登録すべき品目もあります。これらの申請は、シングルウインドウのWebシステム上で行います。

まずは指定された情報を登録して、アカウントを作成しましょう。そして、申請に必要な書類を添付して申し込みをしてください。

申請後、中国政府による審査があり、問題なければ登録番号が与えられます。なお、使用できる言語は英語もしくは、中国語のみなため、注意が必要です。

輸出の許可・ライセンス・商品登録

日本から中国へ食品を輸出をする事業者は、輸出先の管轄の税関に届出をしなくてはなりません。この規約は、中華人民共和国輸出入食品安全管理弁法によって定められています。

届出をする際は、下記の内容を申請する必要があるので、事前に準備をしておいてください。

  • 中国へ輸入する食品の品目と保管する場所
  • 食品の安全を管理する部署について、人員の配備や職能、職責
  • 過去2年間に食品の輸出や加工、販売に従事した場合は、食品の品目や数量の説明

手続きは、オンラインもしくは窓口にて、輸入事業者届出書と必要書類を提出します。また、中国へ輸出する企業は、以下の内容について事実を記録しなくてはなりません。

  • 輸出する食品の品名と規格、数量、製造年月日、品質保持期限
  • 生産もしくは輸出ロット番号
  • 輸出する事業者と買主の名称、連絡先、納入日、販売状況

上記の記録に関わる信憑を保管することも求められています。手続きが完了したら、食品を船や飛行機に詰め込み、中国へ輸送を行いましょう。

中国への食品輸出は手続きが複雑で手間もコストもかかります。

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中国入国後に必要な手続き

中国に入国してからは、通関の手続きや食品の検査と検疫、販売許可の手続きを行う必要があります。煩雑な内容も多く、手続きに不備があると中国への入国が認められないケースもあるため、注意が必要です。それぞれの内容に関して、詳細を解説します。

中国での通関の手続き

通関の手続きについては、税関輸出入貨物申告管理規定に定められています。必要になる書類は下記を参照してください。

  • 輸入貨物通関申告書
  • 契約書
  • インボイス
  • パッキングリスト
  • 積荷目録(積荷明細書)
  • 船荷証券(運送状)
  • 生産日と品質保持期限を証明する資料(検疫証明書や産地証明書)
  • 包装した食品を初めて輸出する際は、食品表示ラベルの見本刷と翻訳文

通関申告は、オンラインによる手続きもしくは紙媒体のどちらかを選べます。

中国入国時の検査・検疫

中国入国時には、出入境検験検疫局による食品の審査と検査があります。一般的な現場検査検疫の内容は下記のとおりです。

  • 輸送用道具と保存場所は安全衛生の基準を満たしているか
  • コンテナ番号や封印シール番号、内装と外装の表示内容、貨物の実際の状況は申告と一致しているか
  • 内装と外装は食品安全国家標準を満たしているか
  • 内装と外装の表示ラベル、標識および説明書は法律や行政法規、食品安全国家標準、税関総署の規定を遵守しているか

上記の内容にくわえ、食品の品目によっては検査が追加されます。たとえば、動植物に由来する食品の場合は、病害虫や土の付着などのサンプルを採集したうえでの、確認が必要です。

中国への輸出を検討している食品が、入国時に特定の検査や検疫が必要かかならず事前に確認をおこないましょう。

販売許可の手続き

輸出した食品を中国で販売するには、一部品目を除き、食品経営許可証を取得しなくてはなりません。この許可を得るには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 食品の品目や物量に適している原材料の処理、加工、包装、貯蔵をする場所の確保
  • 上記の場所を清潔に保ち、有害とされる場所から所定の距離がある
  • 食品の品目や物量に適した設備や施設の確保と衛生管理
  • 食品の安全を管理する人員と、食品安全保障の規則制度
  • 法律や法規で定められたその他の要件も満たしている

なお、販売する商品が包装されている食品のみなら、食品経営許可証は不要です。ただし、その旨を届け出ることが求められます。

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日本から中国へ輸出できない食品と関連する規制

どれだけ中国で需要がある食品だろうと、国家間で輸出入が禁止されているなら、解禁まで待つしかありません。

たとえば、中国国内で牛肉の消費量は多く、和牛の認知度も高いものの、検疫の問題があります。そのため輸出解禁に向けて協議中です。また、中国は放射性物質の規制が厳しく、日本の一部地域で生産された食品の全てを停止しています。

あくまで、上記は2023年5月末日の情報です。最新の輸出規制については、下記サイトより確認してください。

輸出に関する制度 – 中国へ輸出 – 農林水産物・食品 -|ジェトロ

それでは、中国へ輸出できないものについて、詳細をお伝えします。

輸出できない食品の品目

中国による日本産食品の輸入規制は、緩和傾向にあるものの、輸入停止している品目は多々あります。これらの規制は、家畜疾病の発生や、放射性物質の検査基準が主な原因です。

牛肉や豚肉、鶏肉、卵は輸出解禁に向けて協議中とされています。また、牛乳や乳製品は、協議が実質的に終了したとのことです。

青果については、りんごと梨のみ輸出が可能です。白菜やにんじん、大根なども輸出可能とされているものの、検疫の協議が済んでいないため、実質は停止されています。

輸出できない食品の産地

輸入規制10都道府県で生産された食品は、極一部の例外を除き、中国へ輸出できません。この規制は、東京電力福島第1原子力発電所の事故が原因とされています。

該当する都道府県は、福島と宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、長野、新潟です。これらの場所で生産された食品と飼料の輸出は停止しています。

唯一の例外は、新潟県産の精米で、産地を証明すれば、輸出可能です。10都道府県以外で生産された食品も同様に、輸出には産地証明書が求められます。

産地証明書の発行についてはコチラをご参照ください。

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品目別・中国向け食品輸出の手続き

中国向けの食品輸出の手続きは、大半の食品において共通するものもありますが、基本的には品目によって多岐にわたります。

一例を挙げると、水産物や精米を輸出する際は、中国が指定する施設にて認定を受けなければなりません。さらに、輸出する品目によっては、産地の証明や放射性物質の検査が求められるのです。

ここからは、水産物と青果、米類における代表的な輸出手続きをご紹介します。

水産物

水産物を中国へ輸出するには、中国向け輸出水産食品認定施設にて、水産物の加工や保管を行わなくてはなりません。この施設は日本国内にあり、中国政府が要求する基準を満たしていることを認定します。

また、中国向けに動植物を輸出するにあたって、輸入動植物検疫許可証の取得が求められます。さらに、放射性物質検査証明書や産地証明書も必要になることを知っておいてください。

青果物

2023年5月末日の時点では、リンゴとナシを除く青果物の輸出は停止中です。したがって、輸出が再開された際に、適用されるであろう手続きをお伝えします。

青果物を中国へ輸出するには、日本の植物防疫所が発行する植物検疫証明書を添付しなくてはなりません。産地証明書や放射性物質検査証明書も用意しておきましょう。

米・ご飯・米粉製品

中国向け米関連の食品の輸出は、日本政府が作成した産地証明書が必須となります。なぜなら、9都道府県で生産された米の一切は輸出が禁止されており、禁止区域外で生産された米には産地証明書が求められるからです。

また、日本産の精米を中国へ輸出する際には、下記の植物検疫条件を満たさなくてはなりません

  • 中国が指定する精米工場にて精米する
  • 中国によって認定されたくん蒸倉庫にてくん蒸する
  • 輸出検査をして植物検疫証明書を添付する

パックご飯を輸出する場合は、中国指定の施設で精米やくん蒸をする義務はありません。そのかわりに成分分析報告書や衛生証明書を添付します。

なお、米粉の輸出は、2023年5月末日の時点では実績がありません。

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中国への食品輸出でお困りなら日新運輸工業へご相談ください

中国向け食品輸出の手続きは、煩雑で多岐に渡るため、企業が自ら行うと人員も時間もかさんでしまいます。そこで、検討したいのが、専門業者への業務委託です。専門業者に業務委託すれば、スムーズに手続きが進められます。自社で手続きを行う手間や時間を減らせるため、業務の負担は少なくなるでしょう。

日新運輸工業は「食品輸出サービス」を提供しています。あらゆる輸送手段の手配だけでなく、通関手続きや貿易支援までご依頼いただけるのです。

ここからは、日新運輸工業ならではの、中国向け食品輸出サポートについてご紹介します。

輸出の手続きも依頼できる

食品の輸出には植物検疫や動物検疫、通関書類の作成、他にも法令に関わる申告が欠かせません。日新運輸工業に在籍する経験豊富な通関士が、これらの手続きを代行いたします。

日新運輸工業はAEO認定通関業者で、この認定は貨物の管理とコンプライアンスの体制が整備されている証です。AEO認定業者は通関の特例措置を受けられるため、手続きの時間短縮も期待できます。

中国の現地法人と連携し貿易支援をしている

日新運輸工業の中国現地法人が蘇州にあり、海運・陸運・空輸の国内及び国際貨運代理を行っています。現地法人と連携することにより、中国国内の物流の手配や、最適な輸送サービスの提案も可能です。

また、中国で販売したい商品がある企業には、販売のお手伝いをすることができます。

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まとめ

中国へ食品を輸出するなら、中国向け輸出食品の製造等企業登録は必須です。この手続きは2種類の手順があり、日本政府が中国政府へ登録するか、もしくは企業が自ら行います。

さらに、水産物や米類を輸出する場合は、中国が認定する施設での加工や検査が義務付けられているのです。

また、事実上輸出が停止されている食品や産地もあるため、最新の情報を確認してください。

中国向け食品輸出の手続きは煩雑で、食品衛生や貿易の専門的な知識も必須です。専門業者に依頼をすることで、これらの手間と時間を大幅に短縮できるので、ぜひご検討ください。