点検業務の効率化や安全性の向上は、多くの企業や自治体が抱える共通の課題です。高所や狭所、危険な場所での点検には、時間やコストがかかることも少なくありません。こうした課題の解決策として注目されているのが、ドローン点検です。
ドローン点検の活用事例が気になっている人も多いのではないでしょうか。ドローン点検の活用事例は、建物・外壁や工場・プラント設備、インフラ設備、発電設備など、多岐にわたります。
本記事では、ドローン点検の活用事例や活用される場面、導入を成功させるポイントについて解説します。ぜひ最後まで読み進めてみてください。

ドローン点検の活用事例

ドローン点検は、高所や狭所、危険な場所でも人が立ち入らずに状態を確認できる点が強みです。そのため、建築・外壁、工場・プラント設備、インフラ設備、交通インフラ、発電設備など、幅広い分野で活用が進んでいます。点検対象によって求められる撮影方法や機体の種類も異なるため、分野ごとの活用のされ方を押さえておくことが重要です。
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
建築・外壁の点検
建築・外壁の点検では、ドローンに搭載した赤外線カメラで劣化箇所を検知する手法が広がっています。従来は足場を組んだり、ロープアクセスで技術者が壁面に近づいたりする方法が主流でしたが、高所作業には転落などのリスクも伴います。
2022年1月には建築基準法が定める定期点検でも、赤外線カメラを用いた調査が正式に認められました。打診調査では確認しづらかったタイル部分のひび割れや浮きも、赤外線画像なら早期に発見できます。落下物による通行人への被害リスクを抑えられる点も、ドローン点検が評価される理由です。点検の手間が減れば、実施頻度を増やして劣化を早期に把握しやすくなります。
外壁や屋根の点検を検討する際は、赤外線カメラを搭載したドローンを扱う業者へ早めに相談しておくと安心です。点検実績や機体の性能を事前に確認しておくことで、劣化箇所の見落としも防ぎやすくなるでしょう。
工場・プラント設備の点検
工場・プラント設備の点検では、煙突や貯槽タンクなど高所にある設備の状態をドローンで確認します。従来は足場を設置したうえで作業員が高所に上る必要があり、危険を伴う作業でした。工場では人材不足も進んでおり、点検要員の確保自体が難しくなっている現場も少なくありません。
ドローンを使えば地上から遠隔で撮影でき、設備の稼働を止めずに点検を進められます。配管の腐食や断熱材の劣化なども、高精細カメラで細部まで確認可能です。屋内やタンク内部などGPSが届きにくい場所も多いため、障害物回避機能を備えた小型機や赤外線カメラ搭載機が求められます。
工場・プラント設備の点検にドローンを取り入れる際は、対象設備の形状や設置環境に適した機体を選ぶことが欠かせません。配管の内部やタンク周辺など複雑な形状にも対応できれば、点検箇所の見落としを防げます。異常を早期に発見できれば、修繕が必要な箇所への対応も計画的に進められるようになるでしょう。
インフラ設備の点検
インフラ設備の点検では、橋梁やトンネル、ダム、港湾施設など、人が立ち入りにくい構造物の調査にドローンが役立ちます。老朽化が進む日本のインフラを限られた予算で維持するうえで、省コストな点検手法は重要です。
国土交通省は点検要領の改定を重ね、橋梁やトンネルでは2019年からドローンなど新技術による点検の活用を段階的に認めてきました。2020年には道路や港湾を含む幅広いインフラ分野でも新技術の活用が明記され、現場での導入が進んでいます。
ドローンであれば通行規制を最小限に抑えながら、狭い場所や高所も詳細に撮影できます。橋梁の桁下やダムの堤体はGPS電波が遮断される環境が多く、ビジョンセンサーやレーザーSLAM技術で自己位置を維持できる機体が求められるでしょう。
インフラ設備にドローン点検を取り入れる際は、対象構造物の規模や立地に応じた飛行計画を事前に立てておくことが重要です。飛行計画を綿密に立てておくことで、通行規制や周辺環境への影響を最小限に抑えられます。
交通インフラの点検
交通インフラの点検では、鉄道の線路や軌道、トンネルなどをドローンで確認する事例が増えています。鉄道の点検は列車が運行しない夜間など限られた時間内に行う必要があり、作業効率が長年の課題でした。
ドローンを活用すれば短時間で広範囲を撮影でき、点検の省力化につながります。JR西日本では、電車線の停電手続きを伴わずに跨線道路橋をドローンで点検した事例もあり、点検にかかる手間の軽減が進んでいます。
豪雨や台風による被災状況の確認にも、迅速に対応できる点がメリットです。暗所での撮影に対応した高感度カメラを使えば、限られた夜間の時間内でも十分な画質で記録できます。撮影した映像はそのまま復旧工事の計画立案にも活用できます。
交通インフラの点検にドローンを取り入れる際は、夜間の作業を前提とした飛行計画を立てておくことがポイントです。限られた時間内でも安定して飛行できる体制を整えておくことで、点検を理由とした運休や遅延を避けやすくなります。
発電設備の点検
発電設備の点検では、風力発電のブレードや太陽光パネルなどの調査にドローンが使われています。風力発電のブレードは高所にあるため、従来は点検に危険と時間を要していました。太陽光パネルも設置枚数が多く、目視だけでは異常箇所の特定に時間がかかる現場が少なくありません。
太陽光パネルは赤外線カメラを搭載したドローンで発熱異常を検知し、不良箇所を効率的に洗い出せます。風力発電のブレードもドローンなら地上から遠隔で撮影でき、ひび割れや損傷を細部まで確認が可能です。太陽光パネルには発熱異常を検知する赤外線サーモグラフィカメラ、ブレードには接近して細部を撮る高精細ズームカメラが有効です。
発電設備にドローン点検を取り入れる際は、発電量への影響が大きい設備から優先的に点検範囲へ組み込むと良いでしょう。優先順位をつけて点検を進めることで、限られた人員でも効率的に異常箇所を洗い出せます。
ドローン点検が活用される場面

ドローン点検は、日常的な確認から緊急対応、工事前の調査まで、さまざまな場面で活用されています。定期点検、緊急時の点検、改修・修繕前の調査は、いずれも点検の目的や求められるスピード感がそれぞれ異なるのが特徴です。
場面ごとに適した活用の仕方を知っておくことで、導入後の運用もスムーズになります。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
定期点検
定期点検とは、一定周期で確認する点検です。従来の目視点検は足場の設置や交通規制など、準備に時間とコストがかかっていました。点検頻度を増やしたくても、人員や予算の制約から難しいケースも多かったでしょう。
ドローン点検なら短時間で広範囲を撮影できるため、点検頻度を増やしても現場の負担が少なく済みます。撮影データを蓄積すれば、前回の点検結果と比較して劣化の進み具合も確認しやすくなります。点検頻度が上がれば、微細な劣化も早い段階で発見できるでしょう。
定期点検の効率を高めたい場合は、ドローンによる巡回点検の仕組みを取り入れると、劣化の早期発見につながります。点検の周期や範囲を対象設備ごとに設定しておくと、無駄のない運用がしやすいです。撮影データの保管方法もあらかじめ決めておくと、過去データとの比較がスムーズになります。
ドローン点検で行う緊急時の点検とは、災害や事故の発生直後に被害状況を素早く確認するための対応です。地震や台風といった自然災害だけでなく、工場や設備でのトラブル発生時にも、迅速な状況把握が欠かせません。
緊急時の点検
ドローンを使えば、二次災害のリスクを避けながら被災状況や事故現場を上空から撮影できます。地震や台風による建物・インフラの損傷はもちろん、工場設備の破損状況の確認にも活用できます。撮影した映像は復旧計画の立案にも役立ち、対応のスピードを高められるでしょう。
緊急時に備えるためにも、平常時からドローンの運用体制を整えておくと、災害や事故発生時の初動対応を早められます。飛行許可や操縦体制を事前に確認しておけば、緊急時にも迅速に飛行を開始できます。関係機関との連絡フローも、あらかじめ決めておくと安心です。
改修・修繕前の調査
ドローン点検で行う改修・修繕前の調査とは、工事範囲や劣化状況を正確に把握するための事前調査です。事前調査が不十分だと、見積もり段階と着工後で工事範囲が大きく変わってしまうことも少なくありません。
目視だけでは見落としやすい微細なひび割れや腐食も多く、調査精度が低いまま工事を進めると、後から追加の修繕が必要になることがあります。高解像度カメラを搭載したドローンなら、こうした微細な劣化も詳細に記録できます。事前調査の精度が上がれば、修繕範囲や費用の見積もりもより正確になり、修繕コスト全体の抑制にもつながるでしょう。
改修・修繕を計画する際は、ドローンによる事前調査を工程に組み込むと安心です。撮影データを施工会社と事前に共有しておけば、工事範囲の認識をすり合わせやすくなります。調査から着工までのスケジュールにも、余裕を持たせておくと安心です。
ドローン点検の導入で得られる効果

ドローン点検の導入で得られる効果は、点検業務の効率化や作業員の安全確保、維持管理の最適化です。従来の点検では対応しきれなかった課題も、ドローンを活用することで解決の糸口が見えてきます。効果を具体的にイメージできれば、社内での導入検討も進めやすくなります。
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
点検業務の効率化
点検業務の効率化は、ドローン点検を導入する大きなメリットの一つです。従来の点検では足場の設置や交通規制など、準備作業に多くの時間がかかっていました。人手を確保する必要もあり、点検にかけられる予算や日程が限られてしまう現場も少なくありません。
ドローンなら短時間で広範囲を撮影でき、少人数でも点検業務を進められます。撮影から報告書の作成まで、一連の流れをスピーディーに進められる点も魅力です。作業時間が短縮されれば、点検にかけていたコストを他の業務に回すことも可能でしょう。
点検業務を効率化したい場合は、まず対象範囲を絞ってドローン点検を試すと、効果を実感しやすくなります。既存の点検フローの一部からドローンを取り入れれば、無理なく運用に慣れていけます。効果を確認できたら、対象範囲を段階的に広げていくとスムーズです。
作業員の安全確保
作業員の安全確保も、ドローン点検が注目される理由の一つです。高所や狭所での点検作業には、転落や事故のリスクが常につきまといます。危険を伴う作業は担い手の確保も難しく、経験豊富な作業員に負担が偏りがちな現場もあるでしょう。
ドローン点検では、作業員が危険な場所に直接立ち入る必要がなくなります。地上から遠隔で操作できるため、天候や足場の状態に左右されにくい点も強みです。事故のリスクが減れば、安全対策にかかる費用や労力も抑えられます。
危険度の高い箇所から順にドローン点検へ切り替えることで、事故リスクを着実に減らせます。切り替えにあたっては、対象箇所ごとに必要な機体や飛行条件を整理しておくと安心です。安全性の向上を社内で共有すれば、導入への理解も得やすくなります。
維持管理の最適化
維持管理の最適化は、ドローン点検を継続的に活用することで実現しやすくなります。設備の劣化は時間の経過とともに進行しますが、点検頻度が低いと劣化の兆候を見逃しがちです。複数の拠点や設備を抱える企業ほど、どこから手をつけるべきか判断に迷う場面も少なくありません。
高精度な画像や温度データを蓄積すれば、設備ごとの劣化傾向を横断的に比較できます。劣化の進み具合を拠点間・設備間で見比べられれば、限られた予算をどこに優先的に投じるべきかが判断しやすくなります。感覚に頼っていた優先順位づけも、データに基づいて説明できるようになるでしょう。
点検データを拠点・設備単位で比較できる形式に整えておくと運用しやすくなります。全体を横断して見られる仕組みがあれば、予算配分の妥当性を社内外に説明しやすくなります。
ドローン点検の導入を成功させるポイント

点検の導入を成功させるには、点検目的の明確化、対象に応じたドローンの選定、トラブルへの対処法の準備が欠かせません。準備段階でこれらを押さえておくかどうかで、導入後の運用のしやすさも大きく変わってくるでしょう。導入しても、目的や体制が曖昧なままでは十分な効果を得にくいものです。
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
点検目的を明確にしておく
ドローン点検の導入を成功させるポイントは、点検目的を明確にしておくことです。何のために点検を行うのか曖昧なままでは、必要なデータや撮影範囲を絞り込めません。目的が曖昧だと、点検の頻度設計まで誤ってしまうことがあります。
たとえば予防保全が目的なら高頻度な巡回が有効ですが、法定点検が目的なら数年に一度で足りるケースもあります。目的と頻度がかみ合っていないと、必要以上にコストをかけたり、逆に法定基準を満たせなかったりするおそれがあります。関係者間で目的を共有できていれば、頻度や範囲についても無駄のない設計がしやすくなるでしょう。
導入を検討する段階では、点検で得たい情報だけでなく、必要な頻度まで関係者間ですり合わせておくと安心です。目的と頻度を文書化しておけば、業者への依頼内容も伝えやすくなります。点検後の振り返りでも、当初の目的に立ち返って効果を検証できます。
対象に応じたドローンを選定する
対象に応じたドローンを選定することも、ドローン点検の導入を成功させるために欠かせないポイントです。外壁点検には赤外線カメラ、狭い場所には小型機など、点検対象によって適した機体は異なります。搭載センサーやバッテリー性能、通信環境も、現場の条件によって求められる仕様が変わってきます。
機体選定を誤ると、撮影データの精度低下や飛行の難易度上昇につながりかねません。屋内や狭所での点検には、GPSに頼らず安定飛行できる機体が適しています。現場の広さや対象物の高さに応じて、飛行時間や搭載カメラの性能も見極める必要があります。
ドローンを選ぶ際は、点検対象と現場環境の両方に適した機種を比較検討することで、撮影データの精度確保につながるでしょう。導入前に実機でのデモ飛行を依頼できると、現場での使用感も確認しやすくなります。複数の候補機種を比較しておけば、コストと性能のバランスも判断しやすくなります。
発生しやすいトラブルへの対処法を決めておく
発生しやすいトラブルへの対処法を決めておくことも、ドローン点検の導入を成功させるポイントのひとつです。飛行中の墜落や通信の途絶、天候の急変などは、現場でしばしば起こり得るトラブルです。対応が遅れると、機体の損傷だけでなく周囲への被害につながる可能性もあります。
緊急着陸できる場所をあらかじめ確保し、飛行ルートに沿った退避計画を立てておくと安心です。天候の急変に備えて、風速や視界の基準をあらかじめ設定しておく方法も有効でしょう。対処法を事前に決めておけば、トラブル発生時も落ち着いて被害を最小限に抑えられます。
ドローン点検を運用する際は、トラブル対応のマニュアルをチーム内で共有しておくと、緊急時も落ち着いて対応できるでしょう。定期的に模擬対応の訓練を行っておけば、いざという時の初動もスムーズになります。マニュアルは運用状況に応じて、随時見直しておくことも重要です。
ドローン点検でお困りの際は日新運輸工業へお任せください

ドローン点検の導入を検討する際は、豊富な実績を持つ専門業者に相談すると安心です。機体選びから飛行計画、法規制への対応まで確認すべき点が多く、はじめて導入する企業にとってはハードルに感じられる部分も少なくありません。
日新運輸工業では、幅広い分野のドローン点検に対応しています。点検目的のヒアリングから機体選定、飛行計画の立案まで、導入前の準備段階から一貫してサポートする体制を整えています。現場ごとの条件に合わせた提案ができる点も強みです。トラブル対応のノウハウも豊富なため、初めてドローン点検を導入する企業でも安心してお任せいただけます。
まずはお気軽にご相談ください。メールでのお問い合わせも承っております。
まとめ

この記事ではドローン点検の活用事例や活用される場面、導入を成功させるポイントについて解説しました。点検対象や現場の状況に応じて、ドローンの活用事例は多岐にわたります。
ドローン点検の活用事例は以下のとおりです。
- 建築・外壁の点検
- 工場・プラント設備の点検
- インフラ設備の点検
- 交通インフラの点検
- 発電設備の点検
定期点検や緊急時の点検、改修・修繕前の調査など、活用される場面もさまざまです。導入によって点検業務の効率化や作業員の安全確保、維持管理の最適化といった効果も期待できます。導入を成功させるには、点検目的の明確化や対象に応じた機体選定、トラブル対応の準備が欠かせません。自社の点検業務にドローンを取り入れる際は、今回紹介したポイントを参考にしてみてください。


