なぜ検査をするの?検査の目的は?
~ 税関検査の話 ~
こんにちは!
みなさんは輸出入申告で税関検査にあたったことはありますでしょうか?
税関検査になると費用が発生したり、納期に間に合わなくなったり、あまりうれしいものではないですよね。
今回は、そんないや~な税関検査についてご説明いたします。
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税関検査の目的は?
税関は、貨物の中に国内に持ち込むことができない違法なものが混入していないか、また、貨物の内容が申告内容と一致しているか検査を行います。検査の目的は、次の2つに分けられます。
関的検査
「安全安心な社会の実現」のために行われる検査で、社会悪物品、テロ関連物資、知的財産侵害物品の国内流入阻止を目的としています。
麻薬等の社会悪物品は当然ながら輸入できません。
また、貨物の形状(意匠権)やブランド名(商標権)が、商標権等の権利者から「輸入差止申立て書」が提出されているものと一致するおそれがある場合には、“知的財産侵害の疑義がある物品”として、侵害の有無の確認のため、通関を保留されてしまうこともあります。
なお、輸出通関の際には、大量破壊兵器等の開発、製造、使用や通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがある貨物に該当しないか、とういうことに中心に検査が行われます。
税的検査
「適正かつ公平な関税等の徴収」のために行われる検査で、HSコード(輸入統計品目番号、“税番”とも呼ばれています。)の確認のため、貨物の形状・成分・用途等の確認が行われます。
検査の結果、税関から貨物の内容と申告したHSコードが違うとの指摘を受け、納税額が変わってしまうこともあります。
※ HSコードについては、“マルハナジャーナル”の「HSコードってなに?」をご覧ください!
どのような検査をするの?検査の内容は?
検査の種類には、検査場(改品場)検査、現場検査、見本検査等があります。
※ このほかに、本船検査、艀中(ふちゅう)検査もありますが、ここでは省略します。
検査場(けんさば)検査
検査場検査とは、貨物を税関の検査場に持ち込んで行う検査のことです。
税関検査場では、貨物をコンテナに入れたまま、まるごとⅩ線検査を行う大型Ⅹ線検査や、麻薬探知犬や爆発物・麻薬探知装置(TDS)等の検査機器を使用した検査のほか、貨物の梱包を開けて中身を検査する開披(かいひ)検査等が行われます。
現場検査
貨物を保税蔵置している倉庫等で検査が行われる検査です。
検査場検査及び現場検査では、貨物の全量を検査する「全量検査」又は貨物の一部だけを検査する「一部検査」が行われます。
見本検査
HSコードを確認するため、貨物のサンプルを税関に持ち込んで検査が行われます。
貨物の成分によって税率が異なるものについては、税関の分析部門で成分分析が行われることもあります。
検査の割合が高い貨物は? よく検査に当たるけど・・・
新規輸出入者や新規貨物については、かなり高い割合で検査されます。
また、貨物の種類によっては、テロ関連物質・知財関連・他法令の関係で、貨物確認が必要と判断され、検査が行われるようです。
このほか、税関の「検査強化期間」(年末特別警戒、サミット・万博・国際会議・国際大会等開催時等の取締強化期間)については、税関から関係団体に、「検査が増えることがありますが、ご理解ご協力をお願いします。」との依頼文書が出されていますので、通常よりも検査率が高くなっていると思われます。
※ 他法令とは・・・税関係法令以外の法令により輸入に関して許可、承認等が必要とされる法令で、例えば、外国為替及び外国貿易法、医薬品・医療機器等の品質・有効性及び安全性の確保等に関する法律、食品衛生法、植物防疫法、火薬類取締法等、約30の法令が関税法基本通達で規定されています。
検査は受けないといけないの?
税関検査は、関税法第67条で規定されている法定行為ですので、残念ながら、検査を拒否することはできません。
なお、審査区分3(検査扱い)となった場合でも、税関が「検査の必要はない」と判断した場合には、検査が省略され、審査区分2(書類審査扱い)に変更されるケースもあります。ただ、区分2であったものが、区分3に“区分変更”されることも・・・
※審査区分についてもっと詳しく知りたい方は、“マルハナジャーナル”の「区分1、2、3・・・税関の審査区分ってなに? 」をご覧ください。
検査率を下げる方法は?
税関に申請して、認定事業者(AEO認定事業者)に認定された輸出入者は、原則、検査が免除されます。
ただし、認定を受けるためには、社内のセキュリティ管理と法令遵守の体制を整備して厳しい審査を受け、認定後もその体制を維持しなければなりませんので、相応のコストがかかります。
通常の輸出入者が検査に当たる率を下げるためには、輸出入の実績を積みあげて(適正申告でないとダメです)税関から“優良な輸出入者”と判断されるまで待つしかないようです。
検査にかかる時間は?
貨物の荷姿や個数にもよりますが、一般的には検査場(改品場)検査であれば10~20分程度です。
※ 検査場まで貨物を運送するためのトラック手配や運送にかかる時間は含まれていません。
大型X線検査であれば10~15分程度ですが、その後、全量取出しの指示を受けた場合には、1時間以上かかることもあります。
また、税関検査場への運送の都合などで、検査を翌日に回されるケースもありますし、検査において税関が貨物になんらかの疑問を抱いた場合などは数時間に及ぶ場合もあり、最悪の場合、その日のうちに許可が出ないこともあります。
審査区分は事前に予測できません。あらかじめ検査を想定したスケジュールを組むことが大切です。
検査にかかる費用は?
税関検査において、「税関から徴収される検査費用」はありません。
しかしながら、通関業者の検査立会料(検査の際は必ず通関業者が立会いをしなければなりません。)、貨物を開披した場合の作業料、検査場まで貨物を持ち込む際の運搬料、コンテナヤードや倉庫から搬出入する際のシフト料などが発生します。
これらの費用は、まとめて通関業者から輸出入者様へ請求されます。
検査費用は、貨物の荷姿や個数、貨物の大きさや検査内容などによって料金は様々です。
思わぬ出費になることもあるので、あらかじめ検査費用もある程度想定してコスト計算をしておいた方が良いでしょう。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございます。
税関検査は「安全安心な社会の実現」のため、「適正かつ公平な関税等の徴収」のためという大事な目的のために行われることをご理解いただけると嬉しいです。
でも、費用も時間もかかる税関検査をできるだけ減らせるよう、通関業者と力を合わせて信用の実績を積み重ねていきましょう!
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