保税制度(”保税”ってなに?) ~保税制度の役割や保税地域の種類について~

マルハナジャーナル!

保税制度(”保税ってなに?) ~保税制度の役割や保税地域の種類について~

みなさん、こんにちは!

保税倉庫(保税蔵置場)の利用方法や利用のメリットなどについては、弊社マルハナジャーナル「保税倉庫って何?どう使う?」にて既にご紹介しましたが、そもそも“保税”とはどういうものなのでしょうか?

保税制度は、輸出入手続をする上でとても重要な役割を担っています。ですので、これをしっかり理解していないと、貨物を動かせなくなるなど大変な問題に発展することにもなりかねません。

今回は、保税制度の役割や保税地域の種類など、保税全般にについて説明したいと思います!

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保税制度とは

まず、関税法第2条で定義されている「外国貨物」と「内国貨物」について説明します。

「外国貨物」とは、輸出の許可を受けた貨物及び外国から本邦に到着した貨物で輸入が許可される前のものをいいます。
※ 外国の船舶により公海で採捕された水産物も外国貨物になります。

「内国貨物」とは、本邦にある貨物で外国貨物でないものです。
※ 本邦の船舶により公海で採捕された水産物も内国貨物です。

ですので、外国から到着した貨物は「外国貨物」ですが、輸入が許可されると「内国貨物」になります。また、日本で製造した貨物は「内国貨物」ですが、輸出が許可されると「外国貨物」になります。

実は、関税法上、“保税”の定義はありません。ですが、一般的には、「関税の徴収が留保されている状態」とされています。つまり、保税とは貨物が“外国貨物”である状態です。

そして、「保税制度」とは、保税の状態にある外国貨物に対して各種手続や規制等を設け、税関の監督下に置く制度のことをいいます。

※ 輸出しようとする内国貨物も税関監督下に置かれることになります。 

もし保税制度がなかったら

貨物はいつでも好きな場所に置くことができる ⇒ 貨物の密輸入や抜き取りなどの不正行為が容易になる・・・ 

つまり、この制度がなければ、税関の取締りの目が行き届かなくなり、密輸もやりたい放題になってしまいます。その結果、貿易秩序は崩壊し、国民の安心・安全を守ることや、税の確保も困難になってしまいます。

いかがですか、保税制度の重要性がおわかりいただけましたでしょうか?

次の図をご覧ください。輸出入通関の手続が保税制度(保税地域)の上で成り立っていることがおわかりになると思います。

貨物が国内に引き取られるまでの間、また、貨物が国外に輸出されるまでの間、保税地域内で管理されています。

保税地域

関税法第30条に、「外国貨物は、保税地域以外の場所に置くことができない。」と規定されています。

※ 難破貨物のほか、巨大重量物などで保税地域に置くことが困難又は著しく不適当であると認め税関長が期間及び場所(他所蔵置場所)を指定して許可した貨物などを除きます。

では、その「保税地域」にはどのようなものがあるのか見てみましょう。

税関HPより

① 指定保税地域 (全国89か所 *2023.4.1現在)

国や地方公共団体等が所有又は管理している土地や建物等の公共的な施設について、財務大臣が指定した場所をいい、税関手続を簡易、迅速に処理するために貨物を一時的に蔵置する場所です。

② 保税蔵置場 (全国4,525か所(保税工場の“併設蔵置場”を除く) *2023.4.1現在)

以前は、「保税上屋」、「保税倉庫」と呼ばれていましたが、平成6年の関税法改正で「保税蔵置場」に一本化されました。貿易関係者間では、今でも“上屋”や“倉庫”と呼ばれることがあります。

保税蔵置場では、長期間、外国貨物を保税の状態で保管することができますので、商機をみて都合の良いときに税関に輸入申告することができます。(その間の保管料はかさみますが・・・)

海外旅行経験者は、国際空港の“免税売店”でウイスキーや化粧品などを“免税”で買ったことがあるかもしれませんね。実は、国際空港にある免税売店も、外国貨物を保管する倉庫や売り場は「保税蔵置場」の許可を取得しているんですよ。

余談になりますが、国際空港の免税売店で販売(「保税販売」といいます。)されている外国貨物は、関税・酒税・たばこ税・消費税などが課税されていない“保税”の状態で販売されており、税関の監督下にあります。

一方、日本に訪れた海外旅行者が、税務署長から「輸出物品販売場」の許可を受けた家電ショップやドラッグストアなどで購入する商品は、消費税が“輸出免税”されます。なお、輸出物品販売場は、税務署の監督下にあるものです。

一般的に、国際空港の免税売店の英語表記はDuty Free Shop輸出物品販売場はTax Free Shopとなっています。

さらに余談ですが、空港で免税品を買って出国したつもりが、悪天候などで日本の領海を出ることなく飛行機(船)が国内に引き返した時には、“免税”とはなりません。免税店で引き取って返金してもらうか又は関税等を支払って引き取ることになります。

※ 「ウイスキーなど、開封して少し飲めば税金をとられない」というのは誤りですので、念のため。

③ 保税工場 (全国203か所 *2023.4.1現在)

保税工場は、加工貿易の振興のためにできたものです。外国貨物について、関税等がかからない状態で加工、製造できる地域として税関⾧が許可した場所をいいます。

2年間(延長可)の蔵置期間中は関税等がかからないので、この間に外国貨物の加工、製造を行い、製品を外国に送り出せばよいわけです。(貨物管理や原材料の製造歩留まりの計算が大変です。)

④ 保税展示場 (全国2か所 *2023.4.1現在)

保税展示場は、国際的な博覧会や公的機関等が行う外国商品の展示会等の運営を円滑にするためにできたものです。

外国貨物について、関税等がかからない状態で展示、使用できる地域として税関⾧が許可した場所をいいます。(展示品を販売し、国内に引き取るときには、関税等を支払わなければなりません。)

⑤ 総合保税地域 (全国4か所 *2023.7.1現在)

総合保税地域は、輸入の促進や対内投資事業の円滑化等の動きを背景として、各種の輸入インフラの集積メリットを助⾧するためにできたものです。

前記②~④に掲げる保税地域が有する外国貨物の蔵置、加工、製造、展示等の各種機能を総合的に活用できる地域として、税関⾧が許可した場所をいいます。

保税運送

税関長の承認を受けて、保税地域、港又は空港などの相互間において外国貨物のまま運送することができる制度を「保税運送制度」といいます。

外国貨物は、税関の許可・承認がなければ、勝手に保税地域から出すことはできません。

例えば、
・ 自社の保税蔵置場で輸出許可を受けた外国貨物を、その後、コンテナヤードまで保税運送したのち、外国貿易船に貨物を積み込んで輸出する
・ 博多港で外国貿易船から船卸しした外国貨物を、北九州市の保税蔵置場まで保税運送をしたのちに、輸入申告を行う
など、保税運送は日常的に行われています。

保税運送も税関の監督下で行われます。保税制度がしっかり機能していなければ、輸出許可後に貨物をすり替えて不正輸出する、または船卸後にコンテナから貨物を抜き取って密輸入するなどの不正行為が行われてしまいます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

保税制度は、関税や消費税等を留保したまま外国貨物を保管し、商機を見て貨物を引き取ることや、保税地域内で内容点検や簡単な加工、仕分け作業ができるなどのメリットがある一方、蔵置する場所や期間が制限され、倉庫での貨物の搬出入の記帳義務などが課され、違反したときには関税法の規定による処分が行われます。

法令を守って保税制度を上手に活用しましょう!

弊社も自社の倉庫を下関市に、門司港には九州紙運輸株式会社様と契約した倉庫がございます!

門司港の倉庫は、門司港太刀浦コンテナターミナル近くのため、とても便利に使用することができ、バン詰め・デバンニング・保管など、様々なご要望にお応えすることが可能となっております。

そのほかにも日本全国に提携倉庫があります。

最後に

日新運輸工業・国際部には、輸出入申告のプロである通関士がたくさん在籍しております。

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