運送業界の今後が気になっている人も多いのではないでしょうか。運送業界の今後は、ECサイトの拡大で輸送需要が増える一方でドライバー不足が深刻化するといわれています。また、物流コストの増大や環境問題への対策も必要です。
この記事では、運送業界の今後について解説します。運送業界が抱える課題や有効な対策についても解説するので、ぜひ最後まで確認してみてください。

運送業界の今後はどうなる?

運送業界の今後は、ECサイトの拡大で輸送需要が増えるとともに、ドライバー不足の深刻化や物流コストの増大、さらに環境問題への対応が求められることが予想されます。
それぞれ詳細を確認していきましょう。
ECサイトの拡大で輸送需要は増える
ECサイトの拡大で輸送需要は増えることが見込まれます。今ではあらゆる層の消費者が、日用品から食品、家電、医薬品に至るまでをオンラインで注文することが一般的になりました。EC市場が普及している背景には、スマートフォンの浸透や手軽な決済サービス、独自アプリによる互換性向上などが挙げられます。
大手ECサイトでの「当日配送」や「翌日配送」サービスにより、過疎地から都市部まで1回の注文で複数の荷物が個別に各家庭へ届けられるケースが増加しました。また、生鮮食品の定期宅配やネットスーパーも充実しています。他にも、家具・家電の大型商品では「設置付き配送」などがあり、配送サービスの多様化も輸送需要を押し上げている現状です。
輸送需要が増えるとともに、再配達の割合も上昇しています。2024年時点で再配達率は10%を超え、配送効率の低下が深刻な課題となっています。置き配や宅配ボックスの普及、AIを活用した配送ルートの最適化、シェア型拠点やコンビニ受け取りなど手段の多様化が求められています。
ドライバー不足が深刻化する
今後、運送業界におけるドライバー不足が深刻化すると懸念されています。原因として、労働環境の厳しさや長時間労働、業界全体の高齢化が進行していることが挙げられます。
特にトラックドライバーの平均年齢は約50歳とされ、今後数年で大量退職が始まる一方で、若年層の新規参入は進んでいない状況です。現時点ではは全国で約14万人ものドライバーが足りないとされています。
労働環境の改善や適正な報酬の確保に加え、柔軟な勤務体系の導入や人材育成プログラムの充実も欠かせません。また、自動運転やAIによる効率化、女性や外国人の積極的な採用、共同配送やモーダルシフトといった新たな輸送モデルへの転換も進められています。さまざまな工夫を重ねることで、より安心で続けやすい物流の仕組みとなっていくでしょう。
物流コストが増大する
運送業界における物流コストが増大することは避けられません。燃料費の増加や人件費の上昇に加えて、車両や物流拠点設備への投資拡大をしているためです。
燃料費は原油価格の国際変動や円安の影響で高止まりが続いています。さらに、EVトラック導入やカーボンニュートラルへの取り組み、業務効率化のためのITシステム導入など、新たな投資負担も経営計画に重くのしかかっています。 働き方改革での時短勤務や交代制勤務の導入により、従来よりも多くの人員確保が必須となっているため人件費は15~20%上昇しているケースもあります。
持続可能な経営のためには、業務効率化によるコスト削減や、荷主・企業との連携、配送共同の取り組みなど、多角的な対応が欠かせません。配送ルートの最適化や受け取り効率の向上、共同物流拠点の活用といった実践的な取り組みを広げていくことが、今後の物流を支える大きな力となるはずです。
環境問題への対応に迫られる
運送業界はこれまで以上に環境問題への対応が強く求められる時代に突入しています。地球温暖化への危機感が高まる中、社会全体でCO2排出削減や持続可能なエネルギー活用の実現が進んでいる状況です。
政府は2050年までに温室効果ガスの実質ゼロを目指し、2030年には2013年と比較して46%削減する目標を掲げています。特に運輸部門は国内のCO2排出の約20%を占めており、その大半はトラック輸送によるものです。CO2排出削減の取り組みは業界にとって必須の課題となっています。
EVトラックやハイブリッド車の配備を加速し、都心部で静音・低排出ガスの配送を実現している輸送会社も存在しています。物流センターの省エネルギー化やエコパッケージの採用、配送ルートの最適化など、さまざまな取り組みがCO2削減につながるでしょう。
長距離輸送では鉄道や船舶へのモーダルシフトも拡大しており、幹線輸送は環境負荷の低い手段で補完されています。今後は環境規制の一層の強化が予想されるため、環境対応の取り組みの充実度が企業のブランド価値や信頼性に大きく影響を与える可能性があります。
運送業界の2024・2030年問題とは?

運送業界には2024年問題と2030年問題が存在します。それぞれ詳細を確認していきましょう。
2024年問題
2024年問題とは、働き方改革によりトラックドライバーの時間外労働が年間960時間に制限されることで生じる課題のことです。これまで多くの貨物を効率的に運搬できていましたが、規制によって1人あたりの運転時間が短縮され、輸送できる貨物量が減少しています。
国土交通省の予測では、この影響で配送の遅延や輸送能力の低下が発生し、事業者にとっては運搬量の減少が売上や利益の減少につながるとされています。ドライバーにとっても時間外手当の減少により収入が減る可能性があります。限られた人材で対応せざるを得ない状況が、人材不足をさらに深刻化させる悪循環を生むことも懸念されています。
長距離輸送やECサイトの拡大による物流量の増加が重なると、商品供給や消費者サービスへの影響も避けられません。業界では効率化や自動化の推進に加え、労働環境の改善などの対策が急務となっています。
2030年問題
2030年問題とは、物流業界が2030年に直面するとされる深刻な課題のことです。中心となるのは、高齢化と人口減少によって生じる大幅なトラックドライバー不足です。
国土交通省の予測によると、2030年にはドライバー不足により輸送能力が約30〜34%不足し、配送の遅延や地域間での物流サービスに支障が出る可能性があります。その背景には、長時間労働や厳しい労働環境、低賃金といった業界特有の問題があり、若い世代のドライバー確保が難しくなっていることが挙げられます。
物流コストの上昇やサービス品質の低下が避けられず、地域によっては配送網の維持すら困難になる恐れがあります。さらに、ECサイトの拡大による配送需要の増加も物流負荷を高める要因です。業界では効率化やIT化、自動化の推進に加え、労働環境の改善といった対策が進められています。
運送業界の課題解決に有効な対策

運送業界の課題解決には、共同輸送や物流DXの推進、働き方や労働環境の見直し、様々な人材の採用が有効な対策です。
それぞれ詳細を確認していきましょう。
共同輸送や物流DXの推進
運送業界の生産性を高めるには、企業同士が連携して共同輸送を行い、物流DX(デジタル化)の推進をすることが重要です。輸送効率の向上とコスト削減を可能にし、人手不足や物流の多様化といった課題の解決にもつながります。
共同輸送は複数の企業の荷物をまとめて輸送する方法で、トラックの積載率を向上させ、運行効率やコスト削減につながります。ドライバー不足の問題や環境負荷の軽減も実現できるでしょう。
物流DXによって配送経路や荷物状況のリアルタイム把握、自動配車、AIによる積載率の最適化などが可能となります。たとえばクラウド物流システム導入によって、情報の共有が進み、全体の業務効率化が実現しています。
現在は業界団体や自治体が共同輸送やデジタル技術導入への制度を整備しているため、補助制度を活用することがおすすめです。導入時のコストも抑えられ、スムーズな取り組みが可能となります。
働き方や労働環境の見直し
働き方や労働環境の見直しも早急に取り組むべき有効な解決策です。労働環境の改善によってスタッフの定着率向上や安全面の強化も図ることができ、サービスの質向上にもつながります。
ドライバーの時間外労働規制が強化され、今後はこれまでのような長時間勤務が難しくなり、業界全体の輸送能力が落ちる懸念が高まっています。労働時間の適正管理や休憩の確保、福利厚生の充実、IT活用による業務効率化等が不可欠です。現場では荷待ち時間の短縮や、業務のシフト制導入なども広がっています。
厚労省や自治体では働き方改革に関するセミナーやモデルケースを積極的に提供しており、最新の事例やノウハウを学ぶことが可能です。具体的な対策や成功事例を知ることで、自社の働き方改革を効果的に進めることができるでしょう。
さまざまな人材の採用
運送業界が成長していくためには、さまざまな人材の採用が必要です。これまでは男性ドライバー中心の職場でしたが、女性や年配者、外国人など多様な層を受け入れることで人手不足の解消や職場の活性化につながります。
最近では、女性専用の制服や更衣室整備、時短勤務制度、シニアが働きやすい軽作業など柔軟な雇用制度を採用する企業が増えています。外国人スタッフの戦力化へ向け、語学学習のサポートや異文化理解の研修を充実させる取り組みもされています。
国や自治体が多様な人材を雇用・育成する企業に対し、助成金や研修プログラムを提供しているため、異業種や新規層の人材採用も安心して始められるでしょう。
輸送でお困りの際は日新運輸工業へお任せください

運送業界の今後は、2024年問題に加えて2030年問題への取り組みも求められています。様々な施策をとる業者が多いなか、信頼できる運送会社を選択することも重要です。
輸送でお困りの際は、日新運輸工業へお任せください。お客様のニーズに合わせ、最適な車両や輸送プランをご提案し、安心・安全な物流サービスを提供させていただきます。
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まとめ

この記事では、運送業界の今後について解説しました。
運送業界の今後は、以下の通りです。
- ECサイトの拡大で輸送需要は増える
- ドライバー不足が深刻化する
- 物流コストが増大する
- 環境問題への対応に迫られる
2024年問題、2030年問題も深刻ですが、有効な対策をとることで回避できることもあるでしょう。
企業努力だけでなく、業界全体での協力体制や行政の支援も欠かせません。今後はテクノロジーの活用や労働環境の改善を通じて、持続可能で安定的な物流の仕組みを築いていくことが必要です。



