タイでは2000年ごろから日本食がブームになってます。日本食を好む人が富裕層から中間層まで広がるにつれて、地方都市のスーパーマーケットでも日本食材のコーナーを見かけるようになりました。
しかし、タイへ向けて輸出したい食品はあるものの、どのような手続きが必要かわからない人もいるのではないでしょうか。
タイで販売する食品は、タイの衛生基準を遵守しなくてはなりません。したがって、日本からタイへ輸出する食品も、タイの基準に適合している証明が求められます。
この記事では、タイ向けの食品輸出の規制や、必須の手続き、輸出の流れについて解説します。タイへの食品輸出を検討しているなら、ぜひ参考にしてください。
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タイ向け食品輸出の規制
タイに食品輸出する場合は規定が輸出可能な商品と輸出不可能な商品が定められており、日本で食されていてもタイへ輸出できるとはかぎりません。
規定を守れずに、植物や畜産物の疫病が発生すると、突然輸出停止になり、長らく解禁されない可能性もあります。
まずは、国家間の取り決めによって輸出できない品目から見ていきましょう。
主な食品に関する輸出規制
2023年9月末日の時点で、規制によりタイへ輸出できない品目は、以下のとおりです。
青果物 | ジャガイモ、トウモロコシ、カボチャ、ピーマン、シシトウ、西洋梨、ビワ、イチジク |
畜産物 | 鶏肉、ハムやソーセージなど15品目の加工品 |
水産物 | フグ |
次に、条件付きで輸出可能な食品や、その輸出条件についてお伝えしていきます。
青果物
タイ向け青果物の輸出で必須の手続きは、生産地の登録と、選別梱包施設の登録です。さらに害虫対策や、日本とタイの検疫による合同検査を求められる品目もあります。
日本からタイへ輸出できる青果物と必要な手続きは、以下の表を参照してください。
りんご、いちご、日本梨、ぶどう、桃、サクランボ、柿、キウイフルーツ、ナス | 生産地の登録選別梱包施設の登録 |
メロン、スイカ、キュウリ、トマト | 生産した温室の登録選別梱包施設の登録カボチャミバエのトラップ調査日本とタイの検疫による合同検査 |
かんきつ類 | 指定生産園地の登録選別梱包施設の登録と消毒処理ミカンバエの発生調査日本とタイの検疫による合同検査 |
また、タイへ食品を輸出する場合は、農薬や化学物質などの残留成分への理解も欠かせません。タイ保健省は残留成分の基準値を定めており、一部食品は残留成分の分析を求められるでしょう。
選別梱包施設や残留成分の詳細は、下記の農林水産省のサイトにまとめられているため、内容を確認してみてください。
畜産物
2023年9月末日の時点では、鶏肉のタイ向け輸出は解禁されていません。この規制は、高病原性鳥インフルエンザの発生によるものです。
牛肉は輸出可能で、日本で生まれて飼育された牛の骨なし肉、骨付き肉、内臓が認められています。輸出の際には、タイ政府によって認定された施設で食肉処理を行うことと、食肉衛生検査所が発行した衛生証明書の添付が求められます。
豚肉も同様に、条件付きで輸出可能です。日本で生まれ育てられた豚で、枝肉由来の骨付き肉、び骨なしの肉が認められています。それらの肉を、厚生労働省が認定した施設で処理をすることと、衛生証明書の添付も必須です。
ただし、ひとたび家畜伝染病が発生すると、畜産物の輸出規制は強化されます。したがって、常に最新情報を確認してください。
下記の動物検疫所のサイトでは、輸出の可否だけでなく、証明書の申請方法も確認できます。
水産物
タイへ輸出できない水産物は、フグ以外では電気ウナギや電気ナマズ、ピラニアが挙げられます。また、海水エビの規制は厳しくなっており、タイが指定した病気に感染していない証明が必要です。
マグロを加工品にせずタイへ輸出する際は、漁獲量や漁獲地、漁船名などの提出が求められます。冷凍マグロやカツオの魚種や数量を明確にせず積み込む場合は、タイの規定に沿った申請をしなくてはなりません。
さらには、タイの食品法や動物伝染病法に則った検査が、通関時に行われる可能性もあります。
食品添加物による輸出規制
タイでは、使用できる食品添加物の種類だけでなく、使用条件も法令で定められています。
タイで規制されている添加物を含む食品や、使用方法や割合が規定外の食品は輸出できません。
タイで認められている食品添加物の種類は、タイの行政のサイトで正確な情報が網羅されています。ただし対応言語はタイ語です。
現在はタイで規制されている添加物でも、承認が下りさえすれば、使用可能になります。そのためには、タイの食品医薬品委員会事務局にて、添加物使用の申請をしなくてはなりません。
タイにおける食品添加物の規制や、添加物使用の申請について、日本語で概要を確認したい人は以下をチェックしてください。
(食品規格等調査) 調査報告書 タイ王国 食品添加物|農林水産省
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日本からタイへ食品輸出する際に必須の手続きと証明書
タイへの食品輸出を開始するには、まずタイ国内での輸入業務の許可申請をします。酒類をのぞき、輸入許可証がなくてはタイへ食品を輸出できません。
また、タイで販売される食品は、タイの衛生基準を遵守することが要求されます。そのため、日本からタイへ輸出する食品も、タイと同等の衛生基準に適合している証明が必要になるのです。
輸入許可を得て、衛生基準の証明書が手配できたら、次はタイFDAへ商品情報を登録します。これら一連の手続きについて、概要と申請先などをお伝えします。
タイ国内での輸入業務許可
日本からタイへ食品を輸出する際は、酒類をのぞき、タイの保健省から食品輸入許可証を取得する必要があります。さらに一部の品目は他省庁からの許可も求められるでしょう。
品目ごとの求められる許可証と申請先については、下記をご参照ください。
食品輸入許可書(Orr.7)の申請は、タイ保健省のオンラインシステムe-submissioにて行います。
書類に不備がなければ、通常は1週間で許可がおりるでしょう。しかし規制が厳しい品目は1ヶ月以上も待つ可能性があり、タイ食品庁による質疑応答が設けられることも珍しくありません。
衛生基準に適合している証明
タイ国内で食品を製造する施設は、タイの法令で定められた衛生基準を守ることが義務付けられています。したがって、日本からタイへ食品を輸出する場合も、タイと同等かそれ以上の衛生基準を求められるのです。
この衛生基準の証明は、アルコール飲料と生鮮水産物をのぞき、ほぼすべての食品が対象となっています。タイ政府が認定した証明書を提出する必要があり、下記の書類が該当します。
- ISO 22000やFSSC 22000、JFS-Cなど国際的な規格の認証書
- 日本の食品衛生法に基づいた営業許可証
- 農林水産省が発行したGMP証明書
- GMP証明を兼ねた食肉衛生証明書
実際に要求される衛生基準や、具体的な手続きについては、下記の農林水産省のサイトを参照してください。
タイ向け輸出食品の製造施設に求められる衛生基準に係る規則への対応:農林水産省
FDAへの登録申請
食品輸入許可を取得したら、FDAへ食品登録の申請を行いましょう。FDAとはタイの保健省の内局で、登録申請を行い認証を受け、食品登録番号を取得します。
FDA登録手続きと申請書類は、食品の種類によって大きく異なるため、注意が必要です。まず4つのカテゴリーによって食品が大まかに分類されており、さらに各カテゴリー内にも多くのサブカテゴリーが設置されています。
タイへ輸出する食品が、どのカテゴリーで、どのような手続きが求められるかは、下記の農林水産省の資料を参照してください。
(食品規格等調査) 調査報告書 タイ王国 製品登録及び製造工程認証
なお、書類に不備がある場合や、申請中の審査次第では、修正や再度の申請を求められます。数ヶ月を要したあげく、ついには登録が認められなかったケースもあるので、慎重に行ってください。
日本からタイへ食品輸出する流れ
無事FDAの登録が完了したら、輸送手段の確保や、貨物の保険の手配について考えましょう。
タイの物流は充実しており、日本からタイへの食品輸出において困ることは少ないと予想されます。
ここからは、商品を出荷してからタイへ到着するまでの流れを見ていきましょう。
日本の輸出通関手続き
輸出する商品を保税地域に搬入したら、多くの食品は検疫を受けることになるでしょう。
タイでは植物防疫関連の規制があるため、青果物が含まれる食品は、日本で検疫検査を受けて検疫証明書を用意します。畜産物が関わる食品も同様に、動物検疫所での検査と証明書の交付が条件になる可能性が高いです。
輸出申告をする際には、インボイスやパッキングリストが必要になります。税関による書類審査や検査が行われ、問題なければ輸出が許可されるでしょう。
船荷証券の発行
通関手続きが済み輸出の許可が下りたら、船会社は貨物を船積みすると、貨物の預かり証として船荷証券が発行され、まずは輸出する側が受け取ります。
船荷証券は預かり証だけでなく、貨物の所有権を移転する有価証券としての性質もあるのです。輸入する側は、購入代金と引き換えに船荷証券を受け取ります。
契約にもよりますが、銀行を経由して購入代金を受領し、銀行経由で船荷証券を輸入者へ届けることも可能です。
タイの輸入通関手続き
貨物がタイへ到着したら、タイの通関手続きもすることになります。タイでの輸入手続きは、輸入する側によって進められるのが一般的です。
タイの輸入検査機関による貨物の検査や検疫が行われ、問題なければ許可されます。輸入者が関税や付加価値税を納付すると、税関によって輸入が許可されます。
この一連の流れは、あくまでスムーズに事が進んだ場合のものです。輸入通関で止まってしまう可能性もあるので、次の見出しにてお伝えします。
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タイ向け食品輸出の注意点
タイの親日度の高さや、日本食のニーズとはうらはらに、タイの市場に参入する際は「折れない心が必要」と言われています。
その理由は、輸入担当官によって食品の分類の判断が異なったり、確認の度合いにも差があったりするからです。そのせいで「急に追加書類を要求された」とか「過去に問題なく輸出できたのに、急に条件が変わって止められた」という報告があります。
また、FDAの登録時点では、タイの法令とすべて適合しているかまでは確認されません。したがって、FDA登録手続きが完了して商品を出荷したものの、通関で見過ごされていた問題点が発覚し、輸出が止まる恐れもあるのです。
タイでの輸入手続きは、輸入する側が行うとしても、書類の手配は輸出側も行います。ゆえに、折れない心を持ち、対策を練ることも重要です。
タイへの食品輸出でお悩みなら日新運輸工業にご相談ください
これまでお伝えしたように、タイへの食品輸出では、さまざまな許可申請や登録手続きが求められます。さらには、担当官によって指示が異なるリスクも織り込むべきでしょう。
日新運輸工業はタイに現地法人を設立しており、連携して業務を行ってきました。日本からタイ国内までの物流手配はもちろんのこと、現地での商品販売のお手伝いをすることも可能です。
貿易会社としての実績も豊富で、実務のノウハウが蓄積しています。通関のスペシャリストが在籍しており、あらゆる輸出手続きを一貫して迅速に行います。
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まとめ
タイへ食品を輸出するなら、タイの衛生基準を遵守しなくてはなりません。したがって、アルコール飲料と生鮮水産物をのぞき、タイ政府が認定した衛生証明書の添付を求められます。
また、タイ国内の食品輸入許可証を取得することも、輸出には欠かせません。さらに一部の品目は、他省庁からの許可も必要になります。
タイ向け食品輸出の手続きは煩雑で、さらに、タイの担当官それぞれの解釈が異なるというトラップもあります。
輸出の専門業者に依頼をすると、手続きがスムーズに進行して、わずらわしいトラブルも回避できます。時間短縮だけでなく、手間もストレスも軽減するので、ぜひご検討ください。