台湾は小国ながら、日本からの食品輸出国ランキングで第4位です。対日感情が良好で、多種多様な日本の食品が消費されており、需要が見込めます。
しかし、台湾へ食品を輸出したくても、何から手をつけるかでお困りの人も多いのではないでしょうか。
台湾へ食品を輸出する際は、ほぼすべての食品で原産地の証明書が求められます。輸出する品目や原産地によっては、さらに放射性物質検査報告書も添付しなくてはなりません。
この記事では、台湾向けの食品輸出で避けて通れない規制や、求められる申請手続き、輸出の流れについて解説します。台湾への食品輸出を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
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台湾向け食品輸出の規制・輸出条件
日本から台湾への食品輸出を検討する場合は、まず輸出できる食品かを確認しましょう。国家間の取り決めにより、品目そのものが輸出停止になっていたり、添加物が原因で輸出できなかったりします。
輸出できる品目か否かを簡易サイトでチェックすることは可能です。規制品目は変更になる可能性があるため、常に最新情報を確認するようにしてください。
ここでは農産物や畜産物などのカテゴリーに分類して、輸出できない品目を解説します。さらに、条件付きで輸出可能な品目や、輸出条件についても見ていきましょう。
農産物
2023年9月末日の時点では、日本産のトマトは台湾への輸出が規制されています。この規制はジャガイモ疫病菌によるもので、日本全国で発生したことで輸出が停止されました。
台湾の主要産業のひとつが農業であるため、害虫関連の規制は非常に厳しくなっています。台湾側へ輸入される際の検査にて、規制対象の虫が見つかると、廃棄処分になることも珍しくありません。
モモシンクイガという害虫の侵入を防ぐための規制もあり、りんごと梨、もも、すももが対象です。これらの生鮮果実を日本から台湾へ輸出する際は、二国間が合意した検疫条件を満たすことが求められます。
具体的には、登録生産地での栽培や、登録施設にて選果と梱包をしなくてはなりません。登録選果こん包施設については、下記の植物防疫所によるガイダンスをご覧ください。
また、日本から台湾へ農産物を輸出するなら、残留農薬規制への対応も欠かせません。農薬の規制は各国で異なるため、日本で認められたとしても、台湾では拒否される恐れがあるからです。
台湾の残留農薬規制は、使用できる農薬と作物の組み合わせ、最大残留基準値などが定められています。台湾国内の検査で拒否されると、廃棄もしくは返送処分になるのが一般的です。
台湾で利用が認められている農薬は、下記のデータベースから検索することができます。対応言語は中国語もしくは英語のみです。
畜産物
家畜の伝染性疾病の侵入を防ぐため、どの国も厳格な規制や検査を実施しており、台湾も例外ではありません。
台湾向け鶏肉の輸出は、高病原性鳥インフルエンザが原因で2023年9月末の時点では停止中です。鶏卵も同様に輸出禁止でしたが、期間限定で解禁され、衛生証明書の取得が条件となっています。
豚とイノシシ、それらに由来する食品も台湾へは輸出できません。岐阜県で豚熱が発生した経緯で、日本では輸出検疫証明書の交付が停止しており、台湾行政院も輸入を禁止しています。
牛肉の輸出は可能です。月齢30ヶ月齢未満の牛で、かつ認定施設での処理が条件となっています。
畜産物の輸出規制は頻繁に変更されるため、かならず最新情報を確認してください。下記の動物検疫所のサイトには、輸出の可否だけでなく、必要な書類や申請方法も記載されています。
水産物
2024年1月1日より、台湾向けに輸出される水産食品の新規制が施行されます。この新規制では、水産食品の施設認定や、衛生証明書の添付が義務付けられる点は理解が必要です。
対象となる施設は、養殖施設や加工施設、保管施設、水産食品の製造加工船などが予想されます。新制度の実施前に輸出実績がある施設は、農水省から台湾政府へ施設情報を提供し、承認を得れば輸出が継続できるでしょう。
2023年9月末日の時点では、新規制は検討段階とされています。最新情報は下記のサイトをチェックしてください。
台湾向け輸出水産食品の施設認定及び衛生証明書の添付の義務づけについて:農林水産省
食用の貝と、貝を加工した食品を台湾へ輸出する際は、衛生証明書が必要です。輸出をする業者は、輸出のたびに、衛生証明書の申請をします。手続きに関しては、農林水産省による「台湾向け輸出貝類の取扱要綱」を参照してください。
クロマグロやメバチ、メカジキ、ミナミマグロなど特定のマグロを輸出する際や、メロも同様には、漁獲証明書が必須です。また、キャビアの輸出は国際ルールの遵守が求められ、登録制度もあります。
水産物の輸出で必要となる証明書や、施設認定の申請については、以下のサイトを参考にしてください。
その他 | 証明書や施設認定の申請 まぐろ類の輸出証明書の発行に関する手続
加工食品
加工食品を輸出する場合は、原材料それぞれが台湾で使用が認められているかを、細かく確認しましょう。
規制されている原材料が含まれていると、言うまでもなく輸出できません。原材料の確認作業は容易ではなく、たとえば菌類は種類ごとに細かく規制が分かれており、学名で調べる必要があります。
食品添加物には使用割合に上限があったり、用途によって規制が異なったりします。加工食品に含まれる添加物それぞれが、台湾の規格基準を守らなくてはなりません。
下記のサイトでは、台湾の食品添加物の規制を調べることができます。
また、台湾で加工食品を販売する際には、中国語のラベルを貼る必要があります。日本の食品表示をただ翻訳するだけでは済みません。
たとえば原料に醤油が含まれるなら、醤油の原料である「大豆や小麦、塩」も記載します。したがって、加工食品の原材料が多かったり、成分が複雑だったりする場合は、より多くの手間がかかるでしょう。
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放射性物質による規制
福島・茨城・栃木・群馬・千葉の5県で生産された食品は、2023年9月末日の時点では輸出規制があります。これら5県産の食品は、東日本大震災が発生して以来、長らく輸出が禁止されていました。
2022年に条件付きで規制解禁されたものの、上記の5県で生産された野生鳥獣肉とキノコ類、コシアブラは輸出できません。生産された市町村や区域によって、輸出が制限される品目もあります。
下記の厚生労働省のサイトでは、品目と原産地による出荷制限を確認できます。
また、規制対象の5県で生産された食品は、台湾にて全ロットの水際検査があります。放射性物質が検出されてしまうと、たとえ台湾の基準値以下でも、輸出できない可能性があることも知っておいてください。
台湾に食品輸出する際の必要書類
台湾へ食品を輸出する際は、酒類をのぞき、原産地証明書を添付しなくてはなりません。この証明書は国名だけでなく、都道府県名の表示が必要です。
一部の地域や品目は、さらに放射性物質検査報告書も求められる可能性があります。
台湾政府は、放射性物質への規制が厳格な国のうちのひとつです。一方で、昨今の台湾の消費者は許容する傾向にあり、福島や茨城などが原産の食品を目にする機会が増えています。
それでは、原産地証明書の申請手続きや、放射性物質検査報告書が必要な食品を見ていきましょう。
原産地証明書
台湾が産地証明書として認定する書類は、大別すると「日本の国家機関が発行するもの」「地方自治体や商工会議所によるもの」の2通りです。いずれにせよ、産地は都道府県まで確認できることが必須です。
国家機関が発行する対象は、規制が厳しい5県(福島・茨城・栃木・群馬・千葉)が原産の食品です。申請先は下記のサイトを参照してください。
5県以外の原産地証明書については、管轄の地方自治体に問い合わせをして、確認してください。三重県を例に挙げると、三重県庁の公式サイトでは、証明書発行窓口や相談窓口が告知されています。
商工会議所が発行する原産地証明書も有効ですが、下記の条件を満たさなくてはなりません。
- 産地の都道府県名が明記されている
- 「This certificate of origin is issued by the Chamber of Commerce and Industry in accordance with the Chambers of Commerce and Industry Act under the jurisdiction of the METI. 」という英文を記載する
具体的な手続きについては、管轄の商工会議所に相談してください。京都府を例に挙げると、京都商工会議所の公式サイトにて、原産地証明の取得方法が公開されています。
公的機関が発行する検疫証明書や、衛生証明書なども、台湾向けの原産地証明となり得ます。詳細は、下記の農林水産省によるガイダンスを参考にしてください。
台湾による日本産食品の輸出に係る原発関連の規制について:農林水産省
放射性物質検査報告書
原産地証明書だけでなく、放射性物質検査報告書を添付することで、台湾への輸出ができる食品もあります。具体的な品目と地域は、下記の表をご参照ください。
酒類を除くすべての食品 | 福島・茨城・栃木・群馬・千葉 |
キノコ類 | 岩手・宮城・山梨・静岡 |
水産物 | 岩手・宮城 |
乳製品・乳幼児用の食品 | 宮城・埼玉・東京 |
茶類 | 静岡 |
なお、国が指定する機関での検査と、台湾向けの検査に対応していることが必須です。都道府県別の指定検査機関は、下記のサイトでまとめられています。
台湾向け食品輸出の手続き
食品輸出の大まかな流れは、まずは輸出の許可申請をして、次に輸送手段を選択します。
台湾の温暖な気候により、食品の劣化が懸念される人もいますが、台湾の低温物流の輸送と保管は、日本と同レベルに近いため、問題はない場合が多いです。
貨物を出荷したら、日本国内と輸出先の台湾で通関の手続きを行います。これら一連の手続きについて、順を追って解説するので、具体的な手続きを知りたい人は内容を確認してみてください。
輸出に必要な許可申請をする
日本から台湾への食品輸出で必須の申請は、輸入業者としての許可や、販売業者としての登録が挙げられます。
まず、台湾への輸出を開始するには、台湾の経済部国際貿易局にて、輸入業者の申請をしなくてはなりません。また、台湾衛生福利部食品薬物管理署(台湾FDA)にて、会社登記や輸入品分類などの登録もします。
台湾で食品を販売するための許可申請も必要になります。台湾の食品業者登録法に沿って、台湾衛生福利部食品薬物管理署(台湾FDA)へ登録しましょう。この手続きでは、企業と製品の情報や、販売活動などが問われます。
船荷証券を受け取る
通関手続きが滞りなく進行し、貨物の船積みが完了すると、船荷証券が発行されます。航空便の場合は航空貨物運送状です。
船荷証券は、船会社が貨物を受け取った証明で、貨物を引き受ける際に必要となります。船荷証券を受け取り、保険証券なども併せて船積書類を作成し、輸入者へ送り届けましょう。
船荷証券は代金の決済にも利用可能です。輸出した側は、決済用の銀行に船荷証券を引き渡して、輸出の代金を受け取ります。輸入した側が銀行へ輸入代金を支払い、船荷証券を受け取るという流れです。
台湾で通関手続きをする
台湾へ貨物が届いたら、台湾側でも通関の手続きがあります。食品は輸入検査がおこなわれ、書類審査や現場検査、もしくは抜き取り検査が実施されるでしょう。
輸出する品目によっては、輸入食品検査だけでなく検疫検査も求められる可能性があります。これらの検査が順調に完了したら、関税や付加価値税を納付するという流れです。
ただし、台湾側の輸入検査が滞りなく完了するとはかぎりません。長引いた場合について、次の見出しにてお伝えします。
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日本から台湾への輸出で注意すべき点
貨物が台湾に到着した際の輸入検査は、長期間になりがちです。荷受けまで1か月以上かかってしまうことも、想定しておいてください。
台湾へ輸入される品目の全てを検査するというわけではなく、現地の検査官が対象を指定します。検査官の裁量によって左右されるため、その場に応じた対応が求められるでしょう。
販売先が指定した納期に間に合わなければ、輸出が頓挫するかもしれません。納期に余裕を持たせるべく輸出したらしたで、賞味期限がより近くなります。
日本から台湾への食品輸出は、「荷受けが遅れるリスク」を織り込んで、ビジネスを展開してはいかがでしょうか。
台湾向けの食品輸出でお困りなら日新運輸工業へご相談ください
これまで見てきたように、台湾への食品輸出にはさまざまな規制があります。さらに、法令がいきなり改正されるため、最新の動向を常に確認しなくてはなりません。
日新運輸工業は物流に特化しておりますが、貿易支援サービスにも定評があります。
通関の専門家が在籍しており、輸出手続きの一切を迅速かつ正確に行うことが可能です。豊富な実務経験があるため、食品輸出で発生しがちなトラブルを予測し回避することもできます。
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台湾への食品輸出は手続きが複雑で手間もコストもかかります。
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まとめ
台湾へ食品を輸出するには、まず輸出できる食品かを判別することから始まります。品目別の輸出規制を確認し、最新の情報を常に追い続けなくてはなりません。
2023年9月末日の時点では、台湾には放射性物質の規制が残っています。酒類をのぞくすべての食品は原産地証明書の添付が必須で、さらに放射性物質検査報告書が求められる品目もあるのです。
煩雑な輸出手続きをクリアしても、台湾側の検査のために、貨物が長期間留め置かれる可能性もあります。検査官の裁量によって検査が行われるため、事前対策は容易ではありません。
輸出の専門業者は、諸手続きを滞りなく進行することが可能で、トラブル回避の術も熟知しています。台湾向け輸出ならではのリスクにも詳しいので、ぜひ気軽に相談してみてください。