roro船とは?roro船のメリットやデメリットも解説

マルハナジャーナル!

roro船とは何か知りたい人も多いのではないでしょうか。roro船とは、トラックやトレーラーが自走して荷物を積み込み・積み下ろしができる特殊な貨物船のことです。

この記事では、roro船について解説します。roro船のメリットやデメリットも説明するので、ぜひ最後まで確認してみてください。

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roro船とは

roro船とは、車両や建設機械、トレーラーなどの「タイヤのついた貨物」をそのまま積み下ろしできる専用の貨物船です。船尾や側面のランプウェイ(スロープ状の通路)を使って、貨物車両が直接船内に乗り入れることができる構造が特徴です。船名のroroは「roll-on/roll-off」といい、「転がして積み込み・転がして積み下ろす」を意味します。クレーンを用いる従来のコンテナ船とは異なり、荷物の積み替えなしで効率よく輸送することが可能です。

車両以外にもバスや重機、特殊な大型機械など、サイズや形状に縛られず多様な貨物をそのまま運べるため、規格外貨物の輸送にも活用されています。特に、自動車メーカーが完成車を海外へ輸出する際や、大型の重量物を内航輸送する際に活躍しています。港間の荷役作業も短時間で済むため、港滞在時間が減り、船の回転率向上や運航スケジュールの安定・コスト削減に大きく貢献するでしょう。

荷役時間の短縮によって港湾滞在時間を減らせるため、運航スケジュールの安定化やコスト削減にも寄与しています。近年では、環境負荷を抑えたハイブリッドroro船や自動運転支援システムを導入した最新船も登場し、物流の効率化とカーボンニュートラルの両立を目指す動きが進んでいます。

roro船とフェリーの違い

roro船とフェリーは、ともに車両を積載して海上輸送を行う船舶ですが、運用目的や設計に明確な違いがあります。roro船はあくまで貨物専用の船であり、乗務員や運転手以外の乗客は基本的に乗船しません。一方で、フェリーはトラックや乗用車のほか、多数の旅客を同時に乗せることができる輸送手段で、主に人の移動が目的です。

roro船は効率的な荷役を追求しており、車両が自走で積み下ろしできるため、積み替え時間が短縮されます。大量輸送や定時運航が可能で、企業間での商品のやり取りに適しているでしょう。港での滞在時間を減らせるため、運航コストの削減やスケジュールの安定にも寄与しています。

フェリーは、決まった航路を定期的に運航し、乗客や車両、貨物を運ぶ船のことです。主に短距離から中距離の海や川で使われ、陸路で行きづらい場所を結ぶ重要な交通手段です。フェリーは人と車を同時に運び、快適さや安全性のための客室や設備が整っています。

近年では、貨物輸送と旅客輸送を兼ね備えたハイブリッド型の貨客兼用フェリーも登場していますが、roro船は依然として貨物運搬専門の堅実な物流船として重要な役割を果たしています。環境性能に優れたハイブリッド船や自動運転支援技術の導入も進み、物流効率と環境負荷軽減を両立させる動きもあるため、おすすめの輸送方法です。

roro船の航路について

roro船には、定期航路と不定期航路があります。それぞれ詳細を確認していきましょう。

定期航路

roro船の定期航路は、あらかじめ決まったスケジュールに従って安定的に運航される航路形態です。安定した物流需要が見込まれる地域同士を結び、製品や部品を効率的に輸送することを目的としています

定期航路は、国土交通省の許可制で運航されているため、信頼性が高く、多くの国内外航路で物流の骨格を担っています。頻繁かつ予測可能な物流需要に対応するために設計されていることから、計画的な貨物輸送が可能です。特に自動車産業ではジャストインタイム生産を支える重要な輸送手段として活用されています。一定の運航時間とルートがあることで、サプライチェーン全体の効率化を促進できるでしょう。

自然災害時に陸上交通が麻痺しても定期航路を活用できることから、緊急輸送の役割も果たしています。また、環境配慮型の新造船を導入し、環境負荷の低減にも取り組んでいます。

不定期航路

roro船の不定期航路は、貨物量などの状況に応じてスケジュールや寄港地が変動する航路のことを指します。

不定期航路は届出制です。貨物量によりスケジュールや寄港地が変動し、多くは貨物の集荷状況やルートの合理化に基づいて運航されています。1年に数回という限られた運航や、特定企業向け専用便の設定など、多様なニーズに応えることが可能です。海外の特殊な港湾条件や輸入規制に対応する場合や、大規模なプロジェクト向けの一時輸送などで不定期航路が活躍しています。

今後はAIによる需要予測技術も取り入れられ、物流ニーズを解析することで運航の効率化が進む見込みです。これにより、不定期航路の運航会社はリアルタイムで需要を把握し最適な船舶やルートを選定できるでしょう。

roro船のメリット

roro船のメリットは、荷役作業の効率が上がること、輸送にかかる料金が安価なこと、環境問題に配慮できることです。

それぞれ詳細を確認していきましょう。

荷役作業の効率が上がる

roro船のメリットは、荷役作業の効率が上がることです。従来のコンテナ輸送のようにクレーンで貨物を吊り上げる必要がなく、車輪付きの貨物がそのままランプウェイから乗り込めるためです。

完成車や建設機械などの扱いが難しい貨物においては、直接搬入できる構造が大きな利点となります。積み込みや積み下ろしにかかる時間を大幅に短縮できるだけでなく、荷物取り扱い中の破損リスクも軽減されます。荷役に必要な人員も少数で済むため、人的コストの削減にもつながるでしょう。港での滞船時間が短くなることで船の回転率が向上し、輸送能力の増大とスケジュールの安定も叶います。

さらに近年は、自動搬送車(AGV)を活用したデジタル荷役も進んでおり、人手不足の解消や作業者の負担軽減に貢献しています。荷物の搬送精度や安全性が高まり、ヒューマンエラーや労働災害のリスクが大幅に減少するでしょう。結果として、物流全体の効率化、コスト削減、作業速度の均一化、企業の競争力強化が期待されています。

輸送にかかる料金が安価

roro船のメリットには、輸送にかかる料金が安価であることも挙げられます。大量輸送ができることや人件費の節約で輸送コストを抑えられるためです。

roro船は車両や機械を直接積み込めるため、コンテナ費用やクレーン使用料のような間接コスト・人件費が不要です。1度の航海で数百台のトラックを運べるため、陸上輸送よりも輸送単位あたりのコストも格段に低くなります。特に長距離輸送では燃料効率の高さが経済効果を生み出しています。商品の販売価格にも好影響を与え、企業全体の競争力強化にもつながるでしょう。

roro船による海上輸送は渋滞や道路規制の影響を受けにくく、時間的ロスの削減にも貢献しています。輸送の安定性が高いことからサプライチェーン全体のコスト管理がしやすくなり、経営効率の継続的な向上も期待されます。コスト効率を考えている企業にはおすすめの輸送手段といえるでしょう。

環境問題に配慮できる

環境問題に配慮できることもroro船のメリットです。近年、物流業界ではCO2排出量削減が重要課題となっており、roro船はその有効な解決策です。

陸上輸送と比較すると、船舶輸送は1トンあたりのCO2排出量が非常に少ないため、環境負荷を抑えやすいという特徴があります。roro船は、貨物を積み替えずに車両ごと運搬できるため、荷役時の燃費ロスや作業エネルギーも抑えられています。LNG(液化天然ガス)燃料を採用したroro船も増え、さらなる排出削減が進んでいる状況です。

日本国内の自動車輸送では、長距離を陸送していた車両をroro船で輸送することで、CO2排出量を約半分以下にできた実績があります。交通渋滞の緩和やドライバー不足対策にもつながり、持続可能な物流の形として注目されています。

今後、環境対応型のroro船は、再生可能エネルギーとの組み合わせも期待されています。港湾設備での電動化や、風力支援システムの導入など、次世代技術の活用が進めば、よりクリーンで効率的な海上輸送が実現するでしょう。  

roro船のデメリット

roro船のデメリットは、リードタイムが長くなることや積載効率の低下、使用できる港が限られることです。

それぞれ詳細を確認していきましょう。

リードタイムが長くなる

roro船の大きなデメリットはリードタイムが長くなることです。roro船は大量輸送には優れていますが、速度面では陸上輸送に劣ります。航海距離や寄港スケジュールにリードタイムが左右されるため、納期がタイトな案件には不向きとされています。

船の出航スケジュールに合わせて貨物を早めに港へ運ぶ必要があり、荷積み待ちや天候による遅延などのリスクも存在します。とくに悪天候時は停泊時間が延び、スケジュール通りの納期調整が困難になるケースもあるでしょう。リードタイムの安定性や短縮を重視する場合は、他の輸送手段を選択することが必要です。

デジタル化の進展により、船舶運航データをリアルタイムで把握できる仕組みも整っており、最近では輸送の見える化が進んでいます。港湾設備の改善やスケジュール調整によるリードタイム短縮努力も行われているため、今後の動向にも注目してください。

積載効率の低下

roro船のデメリットの一つに積載効率の低下があります。コンテナ船はコンテナを縦や横に積み重ねることで大量の貨物を効率的に収容できますが、roro船は車両をそのまま積み込むため立体的で効率的な積載ができません。積載のためのランプウェイやデッキ高さの制約により、積載可能な重量やサイズにも制限が生じ、最大積載量が抑えられることもあるでしょう。同じ船のスペースでも運べる貨物量が少なく、積載効率が低下することは避けられません。

デジタルツインやシミュレーション技術の活用により、最適な積載配置を自動で算出するシステムも普及しつつあります。こうした技術が進化すれば、roro船の積載効率は着実に改善され、経済性と環境性のバランスをよく実現できるようになるでしょう。

roro船の活用には輸送効率とコストのバランスを考慮する必要があります。荷役時間が短く、港の設備負担も軽いという点から、用途やルートによっては有効に機能するケースも少なくありません。輸送時間に余裕がある際にはぜひ検討してみてください。

使用できる港が限られる

使用できる港が限られることもroro船のデメリットです。roro船は車両がそのまま乗り込むことができる貨物船であり、専用の設備が整備されている港が必要です。

roro船を停泊させて、貨物の積み込み・積み下ろしを行うには、特別な設備やスペースがなければ利用できません。車両が直接出入りするためのランプウェイが必要であり、これを備えた港湾は限られています。発着できる港が制約されるため、輸送ルート設計に柔軟性を持たせにくいという課題も併せ持っています。

地方港湾ではまだ設備が整っていないケースもあり、物流網の偏りを生む要因にもなっています。ただし、近年は港湾間競争の活性化や、政府の物流強靭化政策により設備整備が進んでいます。roro船対応ターミナルの増加は、地域間の輸送効率を高めるだけでなく、災害時の代替輸送ルートとしても役立つでしょう。

輸送でお困りの際は日新運輸工業へお任せください

roro船を活用した輸送は、コスト削減や環境対策の面で大きな効果を発揮しますが、最適な航路選定や積載計画には専門的な知識と経験が必要です。

日新運輸工業では、あらゆる物流事業を手掛け、さまざまな業種の物流ニーズにお応えしてきました。お客様の貨物特性や納期、コスト条件に合わせて、最も効率的な輸送プランをご提案いたします。

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まとめ

roro船は、車両ごと積み込み・積み下ろしのできる特殊な貨物船のことです。荷役効率の高さやコストメリットに加え、環境にも優しい次世代の輸送手段として注目されています

roro船のメリットは以下の通りです。

  • 荷役作業の効率が上がる
  • 輸送にかかる料金が安価
  • 環境問題に配慮できる

その一方で、リードタイムや積載効率低下といった課題も存在します。経験豊富な物流パートナーと連携することで、roro船の利点を最大限に生かした安定輸送が実現できるでしょう。

今後、脱炭素社会が進むなかで、環境性能と経済性を両立できるroro船の需要はますます高まることが予想されます。持続可能な物流体制の構築に向け、roro船を戦略的に活用することが企業の成長や競争力を高めてくれる大きな鍵となるでしょう。