物流におけるコンプライアンスとは?違反事例や気をつけるポイントも解説

マルハナジャーナル!

物流におけるコンプライアンスとはなにか、気になっている人も多いのではないでしょうか。物流におけるコンプライアンスとは、規約や法律を守るだけでなく、企業の社会的責任や企業倫理の姿勢そのものです。

この記事では、物流におけるコンプライアンスについて解説します。違反事例や気を付けるポイントも紹介するので、ぜひ最後まで確認してみてください。

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物流におけるコンプライアンスとは

物流におけるコンプライアンスとは、関連する法律の遵守だけでなく、企業倫理に基づいた公正で誠実な対応をする姿勢のことです。この取り組みによって、安全性と公平性を兼ね備えた物流サービスの維持・提供が可能となります。

物流業界では、特に人々の命や健康に直結する輸送時の安全確保、良好な労働環境の維持管理といった観点が重視されています。もし、法令違反や倫理観の欠如のもとサービスが行われた場合、事故の発生リスク増大や監督官庁からの厳しい行政処分、企業の社会的な信頼低下につながるでしょう。

トラックドライバーの長時間労働や機器・車両の点検整備の不徹底による故障・事故の発生は、社会全体に影響を及ぼす深刻な問題となります。リスクを事前に回避するには、全従業員への法令遵守のための教育や研修を定期的に実施し、業務マニュアルや社内規則を整備・徹底することが不可欠です。

コンプライアンスを守るためには、法改正情報や業界の取り組みを常にアップデートし続けることが重要です。専用の管理ツール導入や専門家の意見を活用することも検討してみてください。

コンプライアンスが注目されている背景

物流におけるコンプライアンスが注目される背景には、働き方改革関連法や環境規制の強化により法令遵守の重要性が増していることが挙げられます。また、安全運転や環境保護に対する社会全体の期待が高まっていることもあるでしょう。

物流業界では法改正によって、労働時間に上限が設けられました。いわゆる「2024年問題」です。従業員は、労働時間の管理や安全対策が徹底されることにより、より良い職場環境づくりを求められるようになりました。企業側は、体制整備や契約内容の明確化などで違反を防止しなければなりません。

一方で、荷主も適正な運賃交渉や発注内容の明確化など、物流パートナーへの責任をより強く意識することが必要です。三者がコンプライアンスを守ることで、トラブル防止や安定した取引につながります。

環境規制の観点では、CO2削減再生可能エネルギーの活用や効率的な配送ルート設定などが求められています。コンプライアンスは法律遵守の枠を超え、企業の社会的責任にも直結しています。

物流におけるコンプライアンス違反

物流におけるコンプライアンス違反は、長時間労働や顧客情報の管理欠如、下請法違反による取引が挙げられます。

それぞれ詳細を確認していきましょう。

長時間労働

物流におけるコンプライアンス違反の1つとして、長時間労働があります。労働基準法などの関連法令によって労働時間には上限が定められており、それを超えて労働させた場合、企業は法的責任を問われることになります。  

現在、「2024年問題」の影響で、トラックドライバーの時間外労働規制が本格化しています。そのため旧来の働き方を改善しない企業は、法令違反のリスクを抱えるだけでなく、人材確保の面でも不利な立場となるでしょう。国土交通省が推進する「ホワイト物流」運動によって、業界全体で働き方改革を進める動きが標準化しつつあり、コンプライアンス遵守と改善への対応が不可欠になっています。  

ドライバーの時間外労働規制により、業界全体が効率化やデジタル化に動き出しています。長時間労働を減らすことは、法律遵守にとどまらず、企業の競争力を高めるチャンスともいえるでしょう。

顧客情報の管理欠如

顧客情報の管理欠如も物流におけるコンプライアンス違反です。顧客の情報漏洩は深刻なコンプライアンス違反であり、企業の社会的信用を即座に損なうリスクがあります

物流業では配送先住所や電話番号、場合によっては商品内容といった個人情報を取り扱います。適切に管理できなければ、個人情報保護法に抵触し、法的責任や巨額の損害賠償を負う可能性があるでしょう。実際に、配送伝票の管理不備による情報の紛失や、電子データを暗号化せずに持ち出した社員による情報流出などの事例が報告されています。

情報管理の強化は社内ルールの問題だけではなく、物流企業の重要課題です。最新のセキュリティシステムを導入してデータを暗号化したり、配信伝票をデジタル化して紙媒体を減らしたりする努力は、顧客への安心感につながります。従業員に対する情報リテラシー教育も重要です。インシデント事例を共有することで、社員の意識を高めることもできるでしょう。

情報面では、顧客が自主的に配信状況をオンラインで確認できる仕組みを導入する企業が増加しています。問い合わせ対応を減らし、情報管理の効率性と信頼性を同時に向上できます。

下請法違反による取引

下請法違反による取引にも注意しなければなりません。違反すれば、企業の信頼性を揺るがす大きなリスクとなります

典型的な違反事例としては「発注元による不当な取引条件の押し付け」です。契約後に一方的に運賃を引き下げたり、追加費用を下請事業者へ負担させたりする行為は、法律で禁じられたケースに該当します。こうした圧力が続けば、下請事業者は採算が取れず、人材確保や安全投資にも影響し、結果的に物流サービス全体の質に悪影響を及ぼす恐れがあるでしょう。

下請法は、中小企業を守り、公平・対等な取引環境を保つために設けられています。優越的な立場を利用した不公正な要求は明確に禁止されており、違反すると法的処分だけでなく、企業イメージや取引先との関係にも長期的なマイナスを残すでしょう。

近年は行政による監視が強化され、違反が確認されれば勧告や公表の対象となる場合もあります。日頃から契約内容を見直し、社員に法律知識を浸透させておくことが、結果的に企業の信頼と持続的な成長につながります。

物流におけるコンプライアンスで気をつけるポイント

物流におけるコンプライアンスで気を付けるポイントは、労働時間を正確に把握・管理すること、適切な運賃を設定すること、安全管理を強化すること、下請法に則った取引を行うことです。

それぞれ詳細を確認していきましょう。

労働時間を正確に把握・管理する

物流におけるコンプライアンスで気を付けるポイントは、労働時間を正確に把握・管理することです。労働基準法違反にあたるだけでなく、従業員の健康被害や事故、さらには離職の増加といった組織全体への悪影響を招きます

出退勤の打刻や運行記録を単に集めるだけでなく、現場の実態と照らし合わせて確認することが必要です。運転手の実際の労働時間を正確に記録せず「残業していない」と処理してしまうケースでは、形式だけの管理となっているため、結果的に長時間労働や安全面のリスクを見逃すことにつながります。

デジタルタコグラフやICカードなどの客観的なデータを活用すれば、管理者は勤務状況を正確に把握し、働きやすい環境づくりに役立てられるでしょう。労働時間を正しく管理することにより、無理のない運行計画や労働環境の改善が実現できます。

勤怠管理システムやAI分析ツールなど、便利な仕組みも増えています。健康被害や事故リスクを防止するだけでなく、配車の効率化や運営データの見える化にもつながり、企業にとって大きなプラスになるため検討してみてください。

適切な運賃を設定する

適切な運賃を設定することも気を付けるポイントです。法令遵守と企業の持続的な成長の両方に直結する重要な取り組みです。

運賃を実際のコストを無視して低く設定した場合、下請事業者に過大な負担がのしかかります。十分な利益が得られず、人件費を削らざるを得なくなる可能性があるでしょう。それに伴い、安全投資が滞った場合には労働環境が悪化し、事故や品質低下につながるリスクがあります。

企業は「適正なコストを反映した料金」を元に取引条件を整えることが必要です。人件費や燃料費、車両維持費といった実際のコストを正しく積算し、国が示す標準運賃の目安を参考に契約へ反映させることが、公正で持続可能なビジネスの第一歩となります。

2024年問題の影響で運賃交渉や価格転嫁は避けて通れないテーマです。行政によるガイドラインや支援策も充実しているため、こうした制度を活用して交渉の根拠を強化することが、現場の安定と企業の信頼を守るうえで有効です。

安全管理を強化する

物流におけるコンプライアンスでは、安全管理を強化することが欠かせません。疲労や車両不具合が原因の事故は社会的にも大きな問題となっており、企業にとっては信頼の失墜や大きな賠償リスクを伴います

長時間勤務の続くドライバーや、整備が不十分な車両をそのまま走らせると、思わぬ事故につながる危険があります。これは、注意すれば防げたリスクを見逃すことであり、法令違反に問われる可能性も高い行為です。

ドライバーの体調確認のための点呼や日々の点検、安全教育を徹底し、無理のない運行体制を整えることが必要です。管理者が現場の状況を確認し、従業員一人ひとりが「安全第一」を意識することで、事故のリスクは大幅に減らせるでしょう。安全管理を強化することは、取引先や利用者からの信頼につながり、安定した事業運営を支えます。

最近では、ドライブレコーダーやAIによる運転状況のチェックなど、便利なデジタルツールが活用できるようになりました。新しい仕組みを取り入れることで、人的なミスを減らすと同時に、会社全体の安全レベルをさらに引き上げることが可能でしょう。

下請法に則った取引を行う

コンプライアンスを遵守するには、下請法に則った取引を行いましょう。不当な取引は下請側の経営を圧迫し、従業員の働く環境やサービスの品質を低下させる要因にもなります。

発注側が一方的に料金を値下げしたり、契約後になって追加の費用を下請事業者に負担させたりする行為は、下請法違反にあたる典型的なケースです。違反が明るみに出れば、行政指導を受けたり、企業の信頼を大きく損なったりするリスクがあります。

契約内容は双方がきちんと合意し、契約書に明文化することが大切です。発注側は適正なコストを反映した条件を提示する必要があります。受注側も、不明点や不安がある場合には遠慮せず交渉や相談を行い、公平な関係を築く姿勢が求められます

近年は行政による調査・指導が強化されており、違反事例の公表も増加傾向です。社内で下請法について研修を行い、担当者全員が正しい知識を持つことで、法令違反や取引トラブルを未然に防ぎましょう。

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まとめ

この記事では、物流におけるコンプライアンスについて解説しました。物流におけるコンプライアンスとは規則を守るだけではなく、企業倫理に基づいて適切かつ適切に行動する姿勢のことです。

物流におけるコンプライアンスで気を付けるポイントは以下の通りです。

  • 労働時間を正確に把握・管理する
  • 適切な運賃を設定する
  • 安全管理を強化する
  • 下請法に則った取引を行う

物流におけるコンプライアンスを守ることで、従業員の安全や健康整備を守るだけでなく、企業の競争力向上や社会的評価の向上にもつながるでしょう。