輸出で円安のメリット・デメリットとは?輸出を成功させる方法も解説

マルハナジャーナル!

円安傾向が続いていることから、海外輸出を検討している企業も少なくないのではないでしょうか。

しかし円安だからといって、必ずしも海外輸出が成功するとは限りません

輸出する製品が優れていても、ニーズがなかったり、現地の法規制で競争力が低下させられたりすれば、輸出を続けられないからです。

この記事では、円安時に輸出をするメリット・デメリット、輸出を成功させるためのポイントについて紹介します。

海外輸出の事前準備を徹底すれば、輸出国でのトラブルを未然に防ぐことができ、安定的な輸出ができるでしょう。

現在弊社では「輸出物流コスト削減のための無料診断」を行っております。

昨今の人件費や燃料費の高騰で困っている場合は、コスト見直しをしてみませんか?

場合によっては物流費用の削減が可能な場合があるため、以下よりお気軽にお問い合わせください。

輸出における円安のメリット・デメリット

円安とは海外の通貨の価値が上がり、日本の通貨「円」の価値が下がることです。

世界にはさまざまな通貨があるため、海外と取引をするときには、円を外国通貨に交換しなければなりません。

円を外国通貨に換金するときの交換比率は、為替相場によって決まり、日々変動します。

2024年2月時点で、日本の為替相場は円安傾向です。

円安になると外国通貨の価値が上がるため、たとえば今まで100円で1ドルに交換できた通貨が、150円を支払わないと1ドルに交換できなくなります。

この部分だけ見ると「円安は日本にとってデメリットしかない」と思われるかもしれません。

しかしながら、海外へ日本製品を輸出する企業にとっては、円安がメリットになることもあります。

ここからは、円安の環境下で輸出をおこなうメリット・デメリットを見ていきましょう。

円安のメリット

円安は、日本から輸出をする企業にとってメリットになります。

円安になると海外では日本製の商品が安価になるため、価格競争に強くなり収益アップが期待できるからです。

たとえば、海外企業が日本から150万円の商品を購入すると仮定してみましょう。

1ドル100円のときに輸入すると1万5,000ドルが必要になります。しかし、1ドル150円の時に輸入すれば1万ドルしかかかりません。

このことから円安は輸出企業にとって、日本製品を多く売るチャンスとなり円安が追い風となるでしょう。

円安のデメリット

一方で、日本へ海外製品を輸入する企業にとって円安はデメリットになります。

円安になると輸入品の価格が上昇するからです。

影響を受けるのは、海外製品を輸入する企業だけではありません。

私たちの生活にも大きな影響を及ぼします。

なぜなら、日本はエネルギーや加工品の原材料など多くのものを海外からの輸入品に頼っているからです。

日本のエネルギー自給率は諸外国と比べても低い水準で、わずか11.3%、食料自給率も38%しかありません。

そのため、円安で輸入品の価格が上昇してしまうと、輸入品を使った製品価格も値上げせざるを得なくなります。

その結果、円安になると日本では物価高が起こり、家計に大きな影響を与えてしまうのです。

現在弊社では「輸出物流コスト削減のための無料診断」を行っております。

昨今の人件費や燃料費の高騰で困っている場合は、コスト見直しをしてみませんか?

場合によっては物流費用の削減が可能な場合があるため、以下よりお気軽にお問い合わせください。

円安が食料品や雑製品の輸出に与える影響

円安になると日本製品を輸出する企業にメリットがあり、海外製品を輸入する企業にはデメリットがあることがわかりました。

しかしながら、これはあくまでも一般論です。

日本貿易振興機構(ジェトロ)が2023年10月に公表したデータに基づく分析レポートを見てみると、「円安が日本の輸出全体を押し上げた」とはいえません。

なぜなら円安傾向が続いているのにも関わらず、2023年日本の輸出数・金額は、前年同月比でマイナスが続いているからです。

その背景には、海外に輸出する日本製品の製造に必要な材料を海外から仕入れるケースが多いことが上げられます。

国内で材料を購入できたとしても、円高による物価高から材料費にコストがかかるため、日本製品を輸出しても収益が得られにくくなっているのです。

そのため円安傾向でも、輸出企業が業績アップなどのメリットを得られにくくなっています。

ただ品目別に輸出数量を見てみると、食料品や雑製品の輸出数量が上向きになっています。

とくに農林水産物の輸出額が好調で、過去最高の1兆4,547億円となり、前年比2.9%で407億円の増加となりました。

農林水産物の輸出額の増加が大きい品目は次の通りです。

輸出品目前年比増加額(前年比増加率)
真珠(天然・養殖)+218億円(+92.0%)
緑茶+73億円(+33.3%)
ビール+72億円(+66.6%)
ソース混合調味料+60億円(+12.4%)
牛肉+58億円(+11.2%)
ぶり+55億円(+15.2%)
清涼飲料水+55億円(+11.3%)
出典│2023年の農林水産物・食品の輸出実績

緑茶に着目すると、欧米への輸出が増加しています。

背景には、欧米の健康志向の高まりにより、抹茶粉末の需要が増加したことが挙げられるでしょう。

トレンドや人気の高まりが輸出増加を後押ししていることがわかります。

また輸出先の多角化も輸出の増加を促しているかもしれません。

特定の国や地域に輸出を依存せず、多数の国と取引することで、特定の国で輸出が伸び悩んでも他の国でカバーできるため、マイナスの影響を最小限に押さえることができるからです。

つまり円安の効果だけが輸出増加の要因ではなく、トレンドや販路の拡大も輸出増加に大きな影響を与えています。

円安で輸出を成功させるポイント

円安は円高に比べて、企業にとって海外輸出しやすい環境ではあります。

しかしながら、円安だからといって必ずしも海外輸出が成功するとは限りません。

海外輸出を成功させるためには、市場調査や競合分析、販路開拓準備、トラブル予測と防止策の検討が重要です。

ここからは円安時で海外輸出を成功させるためのポイントをご紹介します。

市場調査と競合分析

海外輸出を成功させるためには、市場調査と競合分析を徹底的におこなう必要があります。

自社製品が優れていても、市場にニーズがなければ売れないからです。

市場調査と競合分析は次の手順でおこなうとよいでしょう。

  1. 自社製品がどのような国でニーズがあるのかを調査
  2. 海外輸出をする候補国の決定
  3. 輸出する製品の市場規模やニーズ、競合他社などの市場調査
  4. 輸出の候補国の人口・経済・法律など社会環境の調査
  5. 輸出する製品の決定

海外輸出で期待通りの売上を上げるには、自社製品の特徴や強みをターゲット市場でアピールすることが重要です。

輸出候補国の市場の特性や文化、習慣が理解できていないと、自社製品の良さが現地の人に伝わらず、「製品が全く売れなかった」という結果を招く恐れがあります。

また、輸出国の法規制も確認しておきましょう。

国によっては、自社産業を保護するために輸入に制限をしていたり、高額な関税を課している国もあるからです。

このような国の場合、競争力の高い製品を輸出しても、法規制により排除されたり、競争力を弱められたりするため輸出が長続きしません。

輸出国の法規制や関税に関する調査は、各国の大使館や領事館が有力な情報源となっています。

市場調査や競合分析をおこなったら、最後に自社製品をそのまま販売するか、輸出国向けに改良・開発してから販売するか検討をしましょう。

ターゲットとなる輸出国の市場や文化、製品によって最適な販売方法は異なります。

現地の取引先の担当者のアドバイスを取り入れながら最適な販売方法を選択しましょう。

販路の開拓

輸出国での販路を開拓する方法の1つに見本市への参加や出展があります。

海外の見本市ではその場で商談が成立することが多く、販路開拓の第一歩となるからです。

輸出国で見本市が開催されるときには、積極的に参加しましょう。

また販路開拓のため、商社に輸出を代行してもらう間接輸出を選択するのも1つの方法です。

間接輸出を依頼すれば、商社が輸出国の取引先を探してくれ、貿易に関する実務や手続きをすべて代行してくれます。

ただ間接輸出には商社にマージンを支払う必要があり、金額も高額なので注意が必要です。

自社で販路を開拓したいのであれば、自社ですべての輸出業務をおこなう直接輸出を選択しましょう。

直接輸出をする場合、企業が輸出国で安心して輸出できる取引先の確保が必要です。

しかし初めて海外輸出を検討している企業が輸出国で、信頼できる取引先を見つけるのは難しいかもしれません。

JETRO(日本貿易振興機構)では、国際的なビジネスパートナー探しを支援しています。

また中小企業基盤整備機構でも専門家が貿易に関してさまざまなアドバイスをおこなっています。

取引先の確保にお悩みの企業は、これら機関を活用してみるのも1つの方法です。

トラブルの防止

輸出国での販路を開拓するときは、トラブルを予測し対応策を検討しておきましょう。

海外輸出では、不良品のトラブル以外にも言語や文化、商習慣の違いによる思いがけないトラブルが発生する恐れがあるからです。

海外輸出でのトラブルを防ぐために押さえておきたいポイントを確認しておきましょう。

  • 輸出する製品に国の許可や承認はいるか
  • 製品が輸出国の品質・安全基準をクリアしているか
  • トラブルが発生したときの対応策と責任範囲を確認しているか

まず海外輸出する製品の品目によっては、事前に国の許可や承認が必要になるケースがあります。

たとえば、輸出する製品が軍需用途に転用できると判断される場合、経済産業省の輸出許可が必要です。

この規制対象には幅広く多くの製品が該当してしまう可能性があるので、事前の確認を忘れないようにしましょう。

次に製品が輸出国の品質・安全基準をクリアしているかを確認しておく必要があります。

製品の品目によっては、日本国内よりも品質や安全に対する基準が厳しいケースがあるからです。

また輸出国で品質に関するクレームがあった場合、物理的に距離があることから、すぐに調整・修理などの対応が難しいこともあるでしょう。

そのため、国内で流通する製品よりも品質基準を強化するなど、品質によるクレームを未然に防ぐ対策が必要です。

さらに取引先と交渉をするときには、価格や取引条件だけでなく、文化や商慣習の違いによるトラブルを想定し、対応策や責任範囲を契約書に明記しておきましょう。

価格や取引条件だけに着目してしまうと、輸出開始後に思わぬトラブルに見舞われ、その対応で赤字になってしまう可能性があるからです。

交渉時には契約書の内容を取引先が理解できるまで説明することで、トラブルが発生しても、被害を最小限に押さえることができます。

輸出でお悩みなら日新運輸工業へご相談ください

円安になると日本製品を安く輸出できますが、輸出国までの輸送費のコストが高額になりがちです。

輸送費や手続きにかかる事務費などのコストを抑えることができれば、収益アップも期待できるでしょう。

日新運輸工業では、物流会社で大量の貨物を運搬する海上輸送の手配や航空便の手配の実績が豊富です。

そのため、海外輸送手段のコーディネートには自信があります。

中国・台湾・タイの海外代理店と提携しているうえ、協力会社も駆使して世界各国へ輸出の手配が可能です。

また日新運輸工業には、通関業務の専門家が在籍しているため、通関手続きもすべて任せることができます。

円安時に海外輸出を検討している事業主の方はぜひ、日新運輸工業にご相談ください。

輸出国までの最適な輸送手段の選択や手配をご提案いたします。

食品輸出の手間やコストにお困りの人は、日新運輸工業におまかせください

以下サービス紹介ページより食品輸出の問い合わせができますので、ご相談お待ちしております。

日新運輸工業の食品輸出サービス

まとめ

円安になると外国通貨の価値が上がり、「円」の価値が下がるため、輸出企業は日本製品の価格を安く設定し、販売することができます。

その結果、製品の競争力が高まり売上を伸ばすことが期待できるでしょう。

しかしながら、近年の輸出数量や額の推移を見てみると円安が輸出企業にとって必ずしもメリットがあるとは言い切れません。

なぜなら、円安傾向が続いているため輸入品が高騰し、エネルギーや食料品などの物価が上昇しているからです。

そのため海外輸出を検討している企業は、円安だからといって安易に輸出を開始すると失敗してしまう恐れがあります。

円安で海外輸出を成功させたいのであれば、事前準備をしっかりとおこないましょう。

海外輸出でお困りごとがあれば、輸出をサポートする国の機関や貿易の経験が豊富な業者のアドバイスを聞いてみてください。