建物の外壁や橋梁、太陽光パネルなど、さまざまな構造物の点検にドローンを活用する動きが広がっています。ドローン点検を検討しているが、どんなことがメリットなのか知りたいという方も多いのではないでしょうか。ドローン点検のメリットは、難所でも安全に点検作業が行え、点検効率が向上することです。加えて、小さな不具合も見つけやすく、点検データも蓄積していけます。
本記事では、ドローン点検のメリット・デメリットをはじめ、点検の流れや業者を選ぶ際のポイントをわかりやすく解説します。導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

ドローンを活用した点検でのメリット

ドローン点検は有効な手法ですが、万能ではありません。難所でも安全に点検作業が行えること、点検効率が向上すること、小さな不具合も見つけやすいこと、点検データを蓄積できることの4点が主なメリットです。
自社の点検業務に適した活用方法を検討するうえで、まずは各メリットの内容を正しく理解することが重要です。それぞれ詳細を確認していきましょう。
難所でも安全に点検作業が行える
ドローン点検のメリットは、難所でも安全に点検作業が行えることです。高所や狭所への立ち入りが不要になるため、転落や酸欠といった労働災害のリスクを大幅に低減できます。
特に効果を発揮するのが、煙突の内壁や橋梁の下部など、人が近づくこと自体が困難な箇所です。従来はロープアクセスや特殊な足場を用意しなければ点検できなかった場所でも、ドローンであれば安全な場所から遠隔操作で点検を完結させられます。また、有毒ガスが発生しやすいプラント設備や点検車両が入れない箇所など、作業員の安全確保にコストがかかる現場ほど、ドローン導入による恩恵が大きくなります。
自社の点検箇所のなかで、作業員が危険な場所に立ち入る工程を洗い出してみましょう。ドローンへの置き換えが可能な箇所を把握することが、安全管理の改善につながります。
点検効率が向上する
ドローンを活用することで、点検にかかる時間と人員を大幅に削減できる点もメリットです。広範囲を上空から一度に撮影できるため、複数人・複数日を要していた現場作業を、より少ない人員で対応できるケースがあります。
従来の点検では、足場の設置や高所作業車の手配など、点検前後の準備・撤収に多くの時間が取られることが課題でした。ドローンはこうした段取りを省けるため、現場での実質的な作業負担を軽減できます。ただし、撮影後の画像整理や解析に時間を要するケースもあるため、工程全体でのトータルコストを見積もることが重要です。
点検頻度を上げたいが人手が足りないという現場こそ、ドローン導入の効果が出やすい環境です。時間がかかっている点検作業を特定し、ドローンへの置き換えを検討してみてください。
小さな不具合も見つけやすい
ドローンに搭載された高性能カメラや赤外線カメラを活用することで、人の目視では気づきにくい初期段階の異常も精度高く検出できます。
赤外線カメラは対象物の温度差を画像として可視化できるため、外壁の浮きや漏水、配管の熱異常といった表面からは判断しにくい不具合の検知に優れています。太陽光パネルの点検では、赤外線カメラが発電効率を低下させる「ホットスポット」と呼ばれる熱異常箇所を効率よく特定できます。目視では発見が難しい初期不良を早期に把握することで、大きなトラブルへの発展を防いでいます。
点検の目的に応じてカメラの種類を使い分けることが、精度向上のポイントです。外観の確認には高解像度カメラ、熱異常や内部劣化の検知には赤外線カメラと、用途を整理したうえで業者に相談してみましょう。
点検データを蓄積できる
ドローン点検で取得した映像や画像はデジタルデータとして保存・管理できるため、構造物の経年変化を継続的に記録していくことができます。
従来の目視点検では、点検結果が担当者の記憶やメモに依存しやすく、引き継ぎや比較検討が難しい面がありました。ドローン点検のデータはデジタルで一元管理できるため、担当者が変わっても過去の記録をそのまま活用できます。
同じ箇所を定期的に撮影し続けることで、ひび割れの拡大や塗膜の剥離がどのペースで進んでいるかを視覚的に把握できます。こうした記録は、補修のタイミングや優先順位を判断する際の根拠としても活用できるでしょう。
データ蓄積の効果は、継続的な点検によって初めて発揮されます。点検サイクルと保存ルールをあらかじめ決めておくことで、長期的な維持管理の精度が着実に高まっていきます。
ドローンを活用した点検でのデメリット

ドローン点検は有効な手法ですが、万能ではありません。物理的な点検作業ができないこと、撮影が困難な場所が存在すること、現場での即時対応ができないこと、操縦技術の習得に時間がかかることの4点が主なデメリットです。
導入を検討する際は、自社の点検業務のどの工程にドローンが適しているのかを見極めることが重要です。それぞれ詳細を確認していきましょう。
物理的な点検作業はできない
ドローン点検のデメリットの一つが、物理的な点検作業ができない点です。カメラやセンサーによる情報収集に特化しているため、表面の画像だけでは判断が難しい内部劣化はドローン単体での検出に限界があります。
2022年1月の国土交通省告示の改正により、ドローンによる赤外線調査がテストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものとして外壁点検の正式な手法として認められました。ただし、あくまで「同等以上の精度を有するもの」という条件付きであり、搭載機材や飛行環境など所定の条件を満たして実施する必要があります。
点検の目的と対象箇所に応じて、ドローンと打診検査の役割分担をあらかじめ整理したうえで導入を進めることが重要です。それぞれの弱点を補いながら、より精度の高い点検体制を構築できるでしょう。
撮影困難な場所が存在する
撮影が困難な場所が存在する点も、ドローン点検のデメリットの一つです。ドローン点検はあらゆる場所に対応できるわけではありません。
一般的なドローンはGPSで自己位置を把握しながら飛行するため、屋内やトンネル内部などGPS信号が届かない環境では安定した飛行が難しくなります。また橋梁の隙間や建物の裏側など、機体が物理的に入り込めない狭所では撮影自体ができないケースもあります。
タンク内部や煙突の内壁といったGPS非対応環境での点検には、レーザーセンサーで自己位置を制御できる屋内専用機体が必要です。通常の機体では対応できないため、点検箇所に応じた機体選定が求められます。
点検を依頼する前に、対象箇所の環境条件を業者に詳しく伝えることが大切です。屋内・狭所・GPS非対応環境への対応実績があるかどうかを確認することで、現場に合った機体と手法を選びやすくなります。
現場での即時対応ができない
即時対応ができないことも、ドローン点検を導入する際に把握しておきたいデメリットです。ドローンは状態の記録と報告に特化しており、異常を発見してもその場で補修や応急処置を行うことはできません。
作業員による直接点検であれば、ひび割れへの補修材の充填など簡易処置をその場で完結できます。一方、ドローン点検で異常が見つかった場合は、改めて作業員を派遣する必要があり、日程調整や手配の時間が発生します。
異常の緊急度に応じて対応優先度を分類しておくと、このタイムラグによるリスクを抑えやすいでしょう。どの状態なら即時派遣が必要か、どの状態なら次回定期点検まで経過観察でよいかを基準として明文化しておくことが、ドローン点検を安全に運用するうえでの実質的な備えになります。
操縦技術の習得に時間がかかる
自社でドローン点検を行う場合、操縦技術の習得に時間がかかることがデメリットとなります。即戦力として運用できる体制を整えるまでには、計画的な準備期間が必要です。
2022年12月に導入された国家資格「無人航空機操縦者技能証明」の取得には、登録講習機関での受講料として30万円程度かかるケースが多く、取得後も3年ごとの更新が必要です。さらに点検業務では構造物への近接飛行や狭所での精密な操作が求められるため、資格取得後も実地訓練を重ねて初めて現場に対応できる水準に達します。
自社導入か外部委託かを判断する際は、技術習得にかかるコストと期間も含めて比較することが重要です。まずは専門業者への依頼から始め、段階的に内製化を検討する進め方が現実的です。
ドローン点検はどのように行われるか

ドローン点検は、事前準備から補修・メンテナンスの検討まで、いくつかの工程を経て完了します。流れを把握しておくことで、業者への依頼がスムーズになり、点検結果を次の行動につなげやすくなるでしょう。
ここでは、事前調査・飛行計画の確認から、撮影・点検の実施、データの解析と結果報告、補修・メンテナンスの検討まで、一般的な点検の流れを順に解説します。
事前調査・飛行計画の確認
ドローン点検は、現場の事前調査と飛行計画の確認から始まります。事前準備の精度が、点検当日の安全性と作業効率を大きく左右するためです。
航空法では、空港周辺・人口集中地区・高度150メートル以上の空域などが原則飛行禁止区域として定められています。該当する場合は、国土交通省のドローン情報基盤システム「DIPS2.0」を通じた事前の許可・承認申請が必要です。特定飛行(飛行禁止区域や制限された方法での飛行)を行う際は、飛行前に飛行計画を通報することも義務付けられています。
許可申請と並行して、構造物の形状・周辺の障害物・電波環境などの現地調査も済ませておくことが重要です。業者に依頼する場合は、敷地の図面や周辺環境の情報を早めに共有しておくと、飛行計画の立案がスムーズに進みます。
ドローンによる撮影・点検の実施
事前調査と飛行計画の確認が済んだら、現地でドローンによる撮影・点検を実施します。点検の目的に応じて、使用するカメラや飛行ルートは異なります。
外観のひび割れや変形の確認には高解像度の可視光カメラが、外壁の浮きや熱異常の検知には赤外線カメラが適切です。赤外線撮影は太陽光による温度差を活用するため、晴天かつ風速5メートル以下といった気象条件が求められます。また、外壁調査では壁面に対して垂直に近い角度を保ちながら飛行することが、浮きや剥離箇所の温度差をより正確に把握するうえで重要です。
点検当日の天候はデータの精度にも影響します。業者に依頼する際は、撮影条件の基準や悪天候時のスケジュール対応についてあらかじめ確認しておきましょう。
データの解析と結果報告
撮影が完了したあとは、取得したデータを専門家が解析し、点検結果をまとめた報告書を受け取ります。
ドローンで収集した画像・映像データは膨大になることが多く、異常箇所の特定には専門的な知識と経験が必要です。近年はAIを活用した画像解析技術が普及しており、ひび割れや錆といった損傷を自動検出できるサービスも登場しています。報告書はPDF・Word形式で納品されるケースが多く、補修計画の立案や関係者への説明資料としてそのまま活用できます。
業者を選ぶ際は、撮影だけでなく解析・報告書作成まで一貫して対応できるかを確認しましょう。報告書の形式や記載内容が自社の管理基準と合っているかも、依頼前に押さえておきたいポイントです。
補修・メンテナンスの検討
報告書をもとに、異常箇所の補修やメンテナンスの要否を判断します。ここまでの工程を経て、ドローン点検は完了です。
報告書には異常箇所の位置・状態・深刻度がまとめられており、補修の優先順位を整理するうえで役立ちます。軽微な劣化であれば経過観察にとどめ、進行が早い箇所や安全に影響する損傷は早期に対処するといった判断が可能です。データとして記録が残るため、修繕計画の立案や予算確保の根拠としても活用できます。
点検結果を「確認して終わり」にしないことが重要です。補修の担当者や対応手順をあらかじめ整理しておくことが、点検結果を現場の改善につなげる近道です。
ドローンによる点検費用

ドローン点検の費用は、点検対象の種類・規模・使用するカメラの種類によって大きく異なります。たとえば屋根点検であれば5万円程度から対応している業者が多く、比較的費用をイメージしやすい点検箇所です。
一方、外壁・橋梁・太陽光パネル・鉄塔・風力発電設備などは、対象が変わるたびに必要な機体や撮影難易度が異なるため、費用も大きく変動します。費用を左右する主な要素は以下の3点です。
- 点検面積・規模:対象が大きいほど飛行回数や作業時間が増える。
- カメラの種類:赤外線カメラを使う場合は上位グレードの機体が必要になり、可視光カメラのみの場合より費用が高くなる。
- 報告書の詳細度:解析・報告書作成まで含むかどうかで費用が変わる。
複数の業者から見積もりを取り、費用の内訳が明確に記載されているかを確認することが重要です。「一式」とまとめられた見積もりは、工程ごとの内訳を業者に確認するようにしましょう。
ドローン点検業者を選ぶ際のポイント

ドローン点検の効果は、依頼する業者の質によって大きく左右されます。主な選定ポイントは、豊富な点検実績があるか、必要な資格や許可を取得しているか、精度の高い報告書を作成してくれるか、点検後のフォロー体制が充実しているかの4点です。
以下で詳しく解説します。
豊富な点検実績があるか
業者を選ぶ際にまず確認すべきは、豊富な点検実績があるかどうかです。実績の豊富な業者ほど現場特有の課題への対応力が高く、安定した品質の点検を期待できます。
ドローン点検は対象物の種類によって、使用する機体・カメラ・飛行ルートが異なります。点検実績が豊富な業者は、対象ごとのノウハウを持っており、類似案件の経験が少ない業者では対応が不十分になるリスクがあります。
複数の業者に見積もりを依頼する際は、実績事例の提示を合わせて求めましょう。自社の点検箇所と近い条件での実績があるかを比較することで、業者選定の精度が高まります。
必要な資格や許可を取得しているか
依頼する業者が必要な資格や許可を取得しているかどうかも、業者選びの重要な確認ポイントです。資格の有無は、点検の安全性と結果の信頼性に直結します。
2022年12月に導入された国家資格「無人航空機操縦者技能証明」は一等・二等の2種類があり、飛行環境や用途に応じて必要な等級が異なります。赤外線カメラを用いた外壁調査では、「赤外線建物診断技能師」などの専門資格を持つスタッフが解析を担当しているかどうかも、調査精度を左右する確認事項です。
市街地や空港周辺など規制区域での飛行が必要な現場では、国土交通省への事前申請と承認が求められます。見積もり依頼の際に、操縦者の保有資格と飛行許可の対応実績を確認しておくことが、トラブルを防ぐうえで有効です。
精度の高い報告書を作成してくれるか
ドローン点検の価値は、精度の高い報告書を作成してくれるかどうかで大きく変わります。異常箇所の位置・状態・深刻度が明確に記載されていることが、業者を選ぶうえでの重要な基準です。
報告書の質が低いと、補修判断や予算計画が難しくなります。損傷箇所の位置が図面上に示されているか、ひび割れの幅や深さが数値で記載されているかなど、内容の具体性を確認することが大切です。外壁の赤外線調査では、浮き・剥離の疑いがある箇所を図面上にマッピングした報告書が標準的な形式とされており、建築基準法第12条に基づく定期点検の記録としても活用できます。
依頼前に報告書のサンプルを見せてもらいましょう。記載内容の具体性と見やすさを確認することで、自社の管理業務にそのまま活用できる報告書かどうかを事前に判断できます。
点検後のフォロー体制が充実しているか
ドローン点検は報告書の納品で終わりではなく、点検後のフォロー体制が充実しているかどうかも業者選びの重要な判断基準です。異常発見後の相談対応や再点検への対応力が、長期的な維持管理の質を左右します。
補修を進める過程で報告書の内容について追加説明が必要になることや、補修後の改善確認のために再点検を依頼するケースも少なくありません。定期点検の契約を結ぶことで、前回データと比較しながら劣化の進行を継続的に把握できる業者もあります。
初回の問い合わせ対応や見積もり説明の丁寧さも、フォロー体制を見極める手がかりになるでしょう。費用の安さだけで選ばず、長期的に相談しやすい業者かどうかを総合的に判断してください。
ドローン点検を検討している方は日新運輸工業にご相談ください

ドローン点検の導入を検討する際は、現場の環境に合った機体を選定できる業者に相談することが、スムーズな導入への近道です。
日新運輸工業株式会社では、ドローンによる静止画・動画撮影を活用した点検サービスを提供しています。屋根上や高所壁面、橋梁裏側など地上からでは目視が難しい箇所の点検に対応しており、足場を組む必要がなくなるため、コストと作業時間を大幅に削減できます。
飛行環境に応じた機体の選定も強みのひとつです。ドローンを使い分けることで、さまざまな現場条件に対応しています。点検内容や対応範囲についての詳細もお気軽にお問い合わせください。
まとめ

本記事では、ドローン点検のメリット・デメリット、点検の流れ、費用相場、業者選びのポイントについて解説しました。
ドローン点検の主なメリットは以下の4点です。
- 難所でも安全に点検作業が行える
- 点検効率が向上する
- 小さな不具合も見つけやすい
- 点検データを蓄積できる
一方で、物理的な点検作業や即時対応ができないなど、単独での活用には限界もあります。従来の点検手法と組み合わせながら活用することが、点検精度を高めるうえで重要です。
費用は点検対象や規模によって異なるため、複数の業者から見積もりを取りましょう。実績・資格・報告書の質・フォロー体制を総合的に比較したうえで依頼先を選び、ドローン点検の導入を前向きに検討してみてください。適切な業者選びと従来手法との組み合わせによって、より精度の高い点検体制を構築できます。


