トラック輸送のメリット・デメリットとは?輸送・配送の違いも解説

マルハナジャーナル!

貨物輸送といえば、トラック輸送一択と考えている事業主は少なくないでしょう。

日本で最も多く利用されている輸送手段はトラック輸送であり、全体の約90%を占めます。

日本国内の物流になくてはならないトラック輸送ですが、2024年4月からドライバーに働き方改革関連法が適用されるため注意が必要です。

今後はトラック輸送のメリットだけでなくデメリットにも着目して輸送方法を検討する必要があります。

この記事では、貨物輸送になくてはならないトラック輸送のメリット・デメリットやモーダルシフトについて解説します。

トラック輸送のメリット・デメリットや他の輸送方法がわかれば、より効率よくコストを抑えた輸送方法を検討することができるでしょう。

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国内貨物輸送でトラック輸送が占める割合

国土交通省が2020年に集計したデータによると、国内貨物輸送重量でトラック輸送が占める割合は、全体の9割にもなります。

貨物輸送の重量(トン)に輸送距離(キロメートル)を乗じた「トンキロベース」でも、トラック輸送は全体の5割を占めている状況です。

この結果から、日本は国内貨物輸送をトラック輸送に頼り切っていることが見て取れます。

トラック輸送のメリット

国内貨物輸送の大半を担っているトラック輸送のメリットは次の通りです。

  • リードタイムが短い
  • 小回りが利き使い勝手がよい
  • 貨物の入れ替えが少ないため破損リスクが低減

鉄道輸送や船舶輸送との違いを交えながら解説します。

リードタイムが短い

トラック輸送のメリットは、貨物の積み込みから納品までのリードタイムが短いことです。

トラック輸送では、鉄道輸送や船舶輸送と異なり、列車や船のスケジュールを考える必要はなく、任意のタイミングで輸送できます。

また貨物を積み込んだら、途中で貨物を積み替えることなく、そのまま納品先まで輸送できるため、荷物の積み替え回数を最小限に抑えられます。

一方、鉄道輸送や船舶輸送は決められたスケジュールに従って運行されるため、任意のタイミングで出発できません。

船舶の場合、高速船でも時速40km~50kmなので、トラック輸送よりもスピードが劣るため、さらにリードタイムは遅くなります。

さらに鉄道輸送や船舶輸送は、貨物を詰め込んで拠点地である駅や港に着いた後、そのまま納品はできず荷物の積み替えが必要です。

鉄道輸送や船舶輸送は、トラック輸送に比べて荷物の積み替え回数が多く、任意のタイミングで出発できないことから、リードタイムが長くなります。

小回りが利き使い勝手がよい

トラック輸送のメリットは、小回りが利き使い勝手がよいことです。

長距離輸送はもちろんのこと、狭い道路にも入れることから、住宅街への配送もできます。

また、一般道を走行するので天候や渋滞状況によりドライバーが輸送経路を自由に変更し、効率よく輸送できるのもメリットの1つです。

貨物の積み替えが少ないため破損リスクが低減

トラック輸送のメリットは、鉄道輸送や船舶輸送と比べて貨物の積み替えが少ないため、破損リスクを低減できることです。

トラック輸送は、荷主の戸口から受取先の戸口までドライバーが積み替えをせずに輸送することが可能です。

輸送中に荷物の積み替えが発生しないため、ドライバーが事故や無茶な運転をしない限り、貨物が破損するリスクは低いでしょう。

一方、船舶輸送や鉄道輸送では拠点である駅や港で、貨物をコンテナや船舶内に積み替える作業が複数回発生します。

輸送前の貨物の積み替えを人の手で介することも多く、作業員の不注意で貨物を落としたりぶつけてしまったりする可能性があります。

貨物の積み込みの回数が多ければ多いほど、多くの作業員が貨物を運ぶため、破損リスクが高まるでしょう。

トラック輸送のデメリット

利便性が高く、ドライバーが積み替えせずに輸送することが可能なトラック輸送ですが、デメリットもあります。

トラック輸送のデメリットは次の通りです。

  • 長距離輸送だとコストが割高になる
  • 二酸化炭素排出量が多く環境に影響を及ぼす

それぞれ詳細を確認していきましょう。

長距離輸送だとコストが割高になる

トラック輸送は長距離輸送になるとコストが割高になるというデメリットがあります。

トラック輸送の費用相場は、近隣の都道府県の距離であれば費用は比較的安い傾向にあります。

しかし、北海道や鹿児島など遠方にトラック輸送すると、輸送費は割高になる点は理解しておきましょう。

またトラックに積載できる貨物のサイズや量には限りがあることにも注意が必要です。

大量の貨物を輸送する場合は、トラック輸送ではなく他の輸送方法で貨物を輸送した方がコストを抑えられるでしょう。

二酸化炭素排出量が多く環境に影響を及ぼす

トラック輸送は、鉄道輸送や船舶輸送と比べて二酸化炭素の排出量が多く、環境に影響を及ぼすというデメリットがあります。

出典:環境:運輸部門における二酸化炭素排出量 – 国土交通省

国土交通省が公表した2022年度の運輸部門における二酸化炭素排出量の集計データによると、日本の運輸部門のCO2排出量は、1億9,180万トンです。

これを100%とした場合、2022年度のトラック輸送のCO2排出量は、自家用・営業用トラック合わせて7,292万トンとなっており、運輸部門の38%を占めています。

一方で、船舶輸送では1,032万トンで運輸部門の4.9%、鉄道輸送にいたっては824万トンで運輸部門の3.9%しかありません。

国内貨物輸送重量でトラック輸送が占める割合は、全体の9割と先ほど説明しました。

そのため、他の輸送方法に比べてトラック輸送の二酸化炭素排出量が増えてしまうのは仕方のないことかもしれません。

では、単位輸送量当たりの二酸化炭素の排出量を比較するとどうなるでしょうか。

以下は、貨物輸送において、各輸送方法で排出される二酸化炭素の排出量を輸送量(トンキロ:輸送した貨物の重量に輸送した距離を乗じたもの)で割り、単位輸送量あたりの二酸化炭素排出量を試算したときの図です。

出典:環境:運輸部門における二酸化炭素排出量 – 国土交通省

営業用貨物車がトラック輸送になります。

単位輸送量当たりの二酸化炭素の排出量もトラック輸送が圧倒的に多く鉄道が20に対し、トラック輸送は208と10倍以上の数値となっています。

このようにトラック輸送は、運輸部門の中でも二酸化炭素排出量が突出して多いため、地球温暖化や環境に大きな影響を及ぼすと言えるでしょう。

トラック輸送が抱える2024年問題とは?

トラック輸送が抱える2024年問題とは、働き方改革関連法の適用によりドライバーの年間時間外労働が960時間に制限されることです。

ドライバーの労働時間が制限されることで、トラック輸送では次のような問題が生じる恐れがあります。

  • 長距離輸送ができなくなる
  • ドライバーの人員不足が深刻化する
  • 荷主の輸送コストが増加する
  • 荷主は配送を断られる可能性がある
  • 配送にかかる時間が長くなる

2024年問題で頭を悩ませるのは、今までトラック輸送の恩恵を受けてきた事業者や荷主、消費者だけではありません。

今までトラック輸送をしてきたドライバーにも大きな影響がでることが予想されます。

労働時間が減ることで、トラック事業者の売上が下がり、ドライバーの給料が大幅に減少する恐れがあるためです。

トラックドライバーの給料体制は会社によって異なりますが、多くの場合、基本給に時間外労働または走行距離に応じた手当が支払われます。

しかし、2024年問題によって労働時間が抑制されてしまうと、時間外手当が減額する恐れがあります。

さらに2024年問題によりトラック事業の売上が減少してしまうと、基本給アップも見込めません。

その結果、トラックドライバーの収入が大幅に減少し、「生活できないからドライバーを辞めよう」と考える人が増える恐れがあります。

トラック輸送のみに頼らないモーダルシフトとは?

モーダルシフトとは、トラック輸送が大半を占めている国内貨物輸送を、鉄道輸送や船舶輸送に切り替えることです。

モーダルシフトに切り替えることで、次の効果が期待できます。

  • 二酸化炭素排出量を軽減できる
  • 一度に大量の貨物を輸送できるのでガソリン代などの輸送費を節約できる
  • ドライバーの労働時間を削減できる

このようにモーダルシフトを活用することで、2024年問題への解決にもつながるでしょう。

しかしながら、トラック輸送からモーダルシフトへ移行するまでにはさまざまな課題があります。

課題課題の詳細
スケジュール変更や緊急対応が難しい鉄道や船舶は運航スケジュールに沿って運行されるため、イレギュラーな対応が難しい
荷物の積み下ろし回数が多いため貨物の破損リスク大鉄道や船舶は、拠点から納品先への移動にトラック輸送を挟む必要があり、荷物の積み下ろしが複数回発生
トラック輸送に比べてリードタイムが長くなる駅や港では、荷物の積み替え作業が発生し、貨物の量が多ければ多いほど荷役の作業時間が長くなる。天候の影響を受けやすくスケジュールが変更しがち

モーダルシフトへ移行するには、これらの問題を解決する必要があるため、まだ時間がかかることが予想されます。

トラック輸送でお悩みなら日新運輸工業へご相談ください

2024年4月以降、トラックドライバーの時間外労働に制限がかかることから、今後のトラック輸送は、コスト増や配送日数の延長が予想されます。

コストを抑えて今まで通りの輸送を実施するには、他の輸送手段を検討したり、他社との共同輸送をしたりするなどの対策が必要です。

しかし、トラック運送会社の約9割が中小企業であることから、通常業務を遂行しながら、2024年問題への対策を講じるのは難しいでしょう。

2024年4月以降のトラック輸送業務をどのように進めていけばよいか、お悩みなら、日新運輸工業にご相談ください。

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日新運輸工業の国内貨物輸送サービス

まとめ

国内貨物輸送の約9割を占めるトラック輸送は、利便性の高さから多くの荷主に利用されています。

とくに魅力的なメリットが荷主から納品先まで、一貫して輸送するドアツードア輸送が可能なことです。

ドアツードア輸送は、輸送途中に貨物の積み替えがないため、貨物の破損リスクの低減や荷役時間の短縮が期待できます。

このようにメリットが多いトラック輸送ですが、二酸化炭素排出量が他の輸送手段より多いこと、長距離輸送になると輸送コストが割高になってしまうデメリットもあります。

さらに、トラック輸送は2024年問題の影響を大きく受けており、今後はドライバーの人材不足や売上減少、リードタイムの延長などの問題が生じるでしょう。

トラックのメリットをそのままに、今まで通りの輸送を続けたいのであれば、配送方法を変えたり、モーダルシフトを導入したりするなどの対策が必要です。

しかし、トラック輸送の通常業務をしながら、自社で2024年問題を解決策を考えたり実施したりするのは至難の業です。

物流の専門家に相談しながら、2024年問題の解決に努めていくとよいでしょう。