金属製品を製造するときに出てしまう鉄くずなどの金属スクラップは、専用の業者に委託して運搬・処理をしてもらう必要があります。
金属スクラップは金属の種類によって重量が大きくなるケースがあり、荷役作業中や輸送中に事故が発生してしまう可能性が高いためです。
「安いから」と言って安易に業者を選択してしまうと、法律違反してしまうだけでなく事故を発生させてしまう恐れがあります。
この記事では、鉄くずなどを運搬する金属スクラップ輸送について解説します。金属スクラップの種類や輸送の流れも紹介するので、ぜひ詳細を確認してみてください。
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金属スクラップ輸送とは
金属スクラップ輸送とは、金属製品の廃棄物や製造工程で出た廃金属、壊れて修理ができない機械製品などを収集し、リサイクル施設へ運ぶことを指します。
金属スクラップは利用価値のない廃棄物と異なり、自動車や家電など新しい金属製品の材料として再利用できる有価物です。
環境省の産業廃棄物の排出・処理状況等の調査結果によると、令和3年度の金属スクラップの再生利用率は96.4%となっています。
金属スクラップは再生利用率の高い有価物ですが、山奥など適当な場所に廃棄されてしまうと、化学物質が浸透し、自然に影響を与える恐れがあるため注意が必要です。
また金属スクラップの中には、再生利用できない金属くずと呼ばれるものも含まれています。
金属スクラップ輸送のリスク
金属スクラップの輸送時には火災リスクに十分注意する必要があります。
金属スクラップは、荷役作業や輸送時に金属同士が擦り合って火花が生じてしまう可能性があるためです。
金属スクラップに不純物が含まれていないのであれば、火災は発生しません。
しかしながら、金属スクラップの中にはプラスチックや油、紙など可燃性の廃棄物が含まれていることがあります。
金属同士の摩擦で火花が生じると、可燃性の廃棄物に引火して火災が発生してしまい、大火事につながることも考えられるでしょう。
金属スクラップは熱を逃がしにくい性質を持っていることから、火災が発生してしまうと鎮火しにくく火災が広がる恐れがあります。
金属スクラップの種類
金属スクラップとは、細切れの金属や製造時に排出された不要な金属全般を指します。
金属スクラップは、形状や金属の種類によって次のように分類されます。
金属の種類 | 内容 |
鉄スクラップ | 鉄板や鉄製品のスクラップ。建物や自動車、飲料缶などが該当。リサイクル率は90%以上。 |
雑品スクラップ | 鉄・銅・アルミニウム、金属とプラスチックの非金属など、さまざまな物質が混ざっているスクラップのこと。家電製品や工業機器などが該当。リサイクルに手間がかかるため買取価値が低い。 |
非鉄スクラップ | 鉄・鋼を除くすべてのスクラップ。銅・アルミニウム・ステンレスなど種類が豊富で、さまざまな分類でリサイクルされる。 |
特殊金属 | 非鉄スクラップに該当するもので、エアメタルやレアメタルを含む特殊合金のこと。電子機器の基盤等が該当。種類により買取金額が異なり、買取業者によっては対応していないとこともある。 |
今回は金属スクラップの中でも、代表的な5つの金属について詳しく見ていきましょう。
銅
銅は電線やケーブル、自動車の部品など、身の回りのさまざまな製品に使用されている金属の1つです。
とくに家電製品や自動車の電子部品などに使用される銅線は銅の純度が高いことから、リサイクル率はほぼ100%となっています。
鉛
鉛は金属の中でも軟らかく、加工が容易で安価なことから、日本でも古くから寺院建築などに使用されてきました。
近年では人体への有害性から、使用用途が制限されていますが、自動車用バッテリーや産業用バッテリーの材料として使用されています。
なお、使用済みの鉛バッテリーは、約80%がリサイクルされています。
アルミニウム
アルミニウムは、年間400万トンも消費されている金属です。そのうち約40%は、リサイクルによって再生されたアルミニウム二次合金地金です。
アルミニウムは融点が低いことから、使用済みのアルミニウムも溶解してすぐリサイクルできます。
リサイクルに必要なエネルギーは、新たなアルミニウム地金を製造する場合と比べてわずか3%であるため、アルミニウムのリサイクルは省エネに大きく貢献していると言えるでしょう。
ステンレス
ステンレスは錆びにくい金属であることから、廃棄物になりにくくほとんどが高品質な状態で回収できます。
そのため、生産されたステンレスの約80%がリサイクルされているとも言われています。
ステンレスはニッケルを含んでいるものと含んでいないものに大別され、ニッケルを含んでいるステンレスは価値が高いため、高価買取が期待できます。
合金(鉄・銅・亜鉛など)
金属スクラップは、金属単体だけでなく合金スクラップもあります。
合金スクラップには、鉄と銅、亜鉛をベースにした3種類があります。
種類 | 組み合わせ | 用途 |
合金ステンレス | 鉄×クロム、鉄×ニッケル | 耐久性や耐熱性があり、錆びにくい。ほぼ100%リサイクルできる。 |
砲金 | 銅×すず | 水道メーターやバルブに使用される。 |
真鍮(しんちゅう) | 銅×亜鉛 | 水道の蛇口や仏具、金管楽器に使用される。 |
丹入 | 亜鉛×アルミニウム | 見た目はアルミニウムに近いが重量がある。機械部分に使用。 |
合金スクラップは、金属によって買取対象になるものもあります。詳しくは買取業者にご相談ください。
金属スクラップ輸送を依頼する業者の選び方
金属スクラップ輸送を依頼する業者は適当に選んではいけません。
金属スクラップ輸送を依頼した業者が有価物のみ引き取り、再生利用不可の廃棄物を山奥に捨ててしまうなど違反行為をすると、委託した業者だけでなく、発注者側にも罪が問われるためです。
また、金属スクラップ輸送を依頼した後に追加料金として高額な費用を請求する悪質な業者もいます。
このような一部の悪質業者に騙されないよう、ここからは、金属スクラップ輸送を依頼する業者の選び方をご紹介します。
過去に輸送実績がある業者に依頼する
金属スクラップ輸送業者を選ぶときは、過去に金属スクラップ輸送の実績があるか確認しましょう。
広告や業者のサイトを確認した際に、実績を提示していなかったり、設立して間もなかったりする業者は、金属スクラップ輸送時にトラブルになるリスクが高いためです。
金属スクラップは輸送中に火災事故等が起きないよう十分注意する必要があります。金属スクラップ輸送の実績が豊富で、年間請負件数などがきちんと数値化して提示してある業者を選ぶとよいでしょう。
輸送実績が少ない会社のなかには、金属スクラップの一部を盗み、転売する業者もあります。転売をされると自社に損失を被るリスクがあるため、注意しましょう。
積載重量が大きい車両を保有している
積載重量が大きい車両を保有しているかどうかも、金属スクラップ業者を選ぶ際の重要なポイントです。
金属スクラップは一度に大量に運ぶことで、輸送コストを削減できます。積載重量は25t以上の車両を有していると理想です。
最低でも20t以上の積載重量があるとよいので、業者選びの際には内容を確認するようにしましょう。
また、金属スクラップを運ぶ車両は、さまざまな荷姿に対応できる車両かも確認が必要です。
車両によっては運搬の際に荷姿を指定されることがあり、余計な手間がかかる可能性があります。
金属スクラップの輸送は日新運輸工業に相談
自社の商品製造時に排出した金属スクラップは、専門の業者に依頼し、輸送するのが一般的です。
このままずっと同じ業者に委託しても問題ありませんが、燃料の高騰化により、輸送コストが高くなっているため、コスト削減のために別の業者に変更するのも1つの方法です。
しかし、金属スクラップ輸送業者を適当に選んでしまうと、許可のない業者に回収・運搬を依頼してしまったり、回収や輸送の実績不足で労災が起きてしまったりする可能性があります。
信頼できる金属スクラップ輸送業者を探したいのであれば、自社でなく物流のプロである物流業者に相談するのも1つの方法です。
日新運輸工業は、物流のプロなので、信頼できる金属スクラップ輸送業者を手配することができます。
トラックや鉄道といった輸送手段の手配から責任を持っておこないますので、詳細が気になる人は以下のリンクから問い合わせをしてみてください。
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まとめ
製造業で出る金属スクラップは、適切な処理が求められるため、専門の業者を選ぶ必要があります。
適当に業者を選んでしまうと、法律違反や事故につながる可能性があるため注意が必要です。
産業廃棄物処理運搬許可を取得しているのはもちろんのこと、金属スクラップの買取も請け負っている業者であれば、金属くず商許可もあるかを確認しておきましょう。
また、金属スクラップは輸送や保管中に、金属同士が擦れて火花が散り、火災が発生してしまうこともあります。
万が一の事故発生時もすぐに対応できるよう、金属スクラップ輸送の実績が豊富な業者を選びましょう。
しかしながら、信頼できる金属スクラップ輸送業者を自社で探すのは大変ですし、本当に信頼できる業者かどうかは、実際に依頼してみないと分からないこともあります。
信頼できる金属スクラップ業者を見つける際には、自社だけで決めるのではなく、物流のプロにアドバイスをもらったり、紹介してもらったりするのも1つの方法です。
日新運輸工業は、創業80余年という豊富な実績を持つ物流会社なので、信頼できるスクラップ輸送業者をすぐに手配することが可能です。
コストをかけずに金属スクラップを輸送するためのご提案もできますので、金属スクラップ輸送の手配にお困りの方はお気軽にご相談ください。